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法人の決算と申告  (4)−必須税務知識

経理さん必須の税務知識

交際費

●税法上の扱い

会社の経理処理に関わらず、その内容が接待・供応・慰安に該当するものは、交際費として課税の対象になります。

取引先や株主だけが対象ではありません。会社が従業員に対する福利厚生費で処理していても、その内容が接待・供応・慰安に該当すれば税法上の交際費になります

 

中  小  法  人

大      法      人

25/4/1〜26/3/31

 開始事業年度

年800万円までは全額損金算入、年800万円を超える部分は損金不算入

全額損金不算入

26/4/1以後

 開始事業年度

年800万円と接待飲食費の50%相当額のうちいずれかの(多い)額までは損金算入、それを超える部分は損金不算入

接待飲食費の50%相当額までは損金算入、それを超える部分は損金不算入

接待飲食費には、社内飲食費は含まれません。
中小法人では、接待飲食費の支出額が年1600万を超えると、接待飲食費の50%相当額を損金算入限度額とすることで、課税所得金額を少なくすることができます

●飲食代が交際費に該当するか否かの目安(平成18年4月以降)

1人当たり 5,000円以下で、飲食のうち食が主な場合は(乾杯のビール1杯程度なら)交際費には該当しないようです。

●税法上の交際費は範囲が広いことに注意してください。

例えば、当初の予測を大幅に上回る利益が出そうなので、期末に急いで取引先に○○を配り「広告費」で処理したが、後日の税務調査で「…これは交際費に該当する」と指摘され、結局は追徴で数割増の税金を払うことになった …… よくある話です。

源泉所得税

預貯金の利子や配当金を受取る際には、所得税が源泉徴収されていますから、手取額は税引き後の額になっています。

預貯金の利子には、所得税が15%、利子割(都道府県が徴収します)が5%引かれています。

配当金からは、次の税率で源泉徴収されています。

平成21年4月1日以降

平成26年4月1日以降

上場株式等

所得税7%、地方税3%

所得税15%、地方税5%

その他

所得税20% 

 

所得税・利子割とも個人の税金で、法人には納付義務はありません。確定申告の際に所得税は法人税から、利子割は道府県民税(又は都民税)から差し引きます。

利子、配当金の受取に際しては、次のように総額で経理処理しておくと、申告の際に分かり易くなります。

    現金・預金      797   受取利息  1,000
    所得税          150 
    復興特別所得税         3 
    利子割          50 

復興特別所得税については、税制改正(平成24年) 源泉徴収された所得税の経理処理 を参照してください。

平成28年1月1日から、法人に対する利子割の徴収は廃止されました。

引当金

引当金は会社の必要に応じて繰り入れます。主なものに
  ・貸倒引当金 ・賞与引当金 ・退職給与引当金 ・返品調整引当金 ・特別修繕引当金 ・製品保証等引当金
があります。

●税法上の扱いは次の通りです

賞与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金は繰入を認めていません。
会社が繰入れた場合は、申告調整で所得加算しなければなりません。会社の経理(上の必要性)と税務申告は別ものですから、繰入をして毎期申告調整するか否かは、個々に判断することになります。

貸倒引当金

平成24年4月1日以後開始事業年度から、大法人のうち次の業種以外は全額損金不算入になります。

 ◆ 銀行、保険会社その他これに順ずるもの
  ◆リース会社(本業の売買とみなされる部分の債権に限る)

上記以外の大法人でも、3年間は 経過措置として75%・50%・25%が損金算入限度額  となります。

会社が繰入れた金額のうち、繰入限度額を超える部分は所得加算の申告調整が必要です。中小法人は貸倒れ実績率と法定繰入率の選択ができますから、実績率と法定繰入率を比較して有利な方を選択すればよいでしょう。

修繕費

修繕費で経理処理されていても、機能の向上や機能の追加がされている場合、税法上は機能の向上・追加部分は新たに資産を取得したものとして扱われます。

〔例〕

500万円の機械を、修繕と機能向上を兼ねて整備した。費用300万円のうち、100万円が修繕費、200万円が追加費用である。会社の経理では、300万円全額を修繕費としている。

税務上修繕費となるのは100万円だけで、残りの200万円は資産の取得価額と見なされます。200万円分について、費用にできるのは減価償却相当額だけです。

この機械の耐用年数が8年、期中の使用期間が6ケ月だったとすると
    2,000,000×0.25×6/12=250,000   
    2,000,000−250,000=1,750,000
が減価償却超過額となり、所得加算調整が必要です。

機械類だけでなく、事務所・工場・店舗等の場合も同様の判定になります。修繕前の状況を写真に残し、修繕費の明細書類を一式整理して、税務調査に備える用心深い人もいます。

役員報酬/役員賞与

定期同額給与が損金算入になります。毎年継続して、事業年度開始から3ケ月以内の所定の時期に改定され、次期改定まで一定額が支払われるものが該当します。

 会社法施行前

原則 … 役員報酬は損金算入ですが、役員賞与は会社が経費で処理していても損金不算入です。

兼務役員の賞与 … 「取締○○部長」など、使用人(非役員)と同様の条件で職務に就いている場合は、使用人相当分は損金算入できます。ただし、同一日に同一条件で支払っていることが要件です。

過大役員報酬 … 会社の規模・業績・同業他社との比較で過大と判定される場合、過大部分は損金不算入となります。

 会社法施行後

原則 … 次のものは損金になります。

@定期同額給与

A事前確定届出給与(「事前確定届出給与に関する届出書」を所轄税務署に提出する必要あり) … 会社法の施行で、役員給与と役員賞与の区分がなくなったため、 いわゆる役員賞与を支給する場合は事前に届出をします。

B利益連度給与(非同族会社で、有価証券報告書等で算定方法が開示されていること等が要件)

C退職給与、ストック・オプション、兼務役員の使用人分給与

定期同額給与 については、平成19年4月以降は次の場合も該当することになります。

◆改定時期が事業年度開始から3ケ月を超える場合でも、特別の事情があると認められる場合

◆職制上の地位の変更等によって改定された場合

但し、その後の改定までは定期同額でなければなりません。

上記以外の給与、上記給与であっても不正経理によるもの、過大給与は損金不算入です。

減価償却/特別償却

減価償却は、会社の経理では、必要に応じて任意に処理することができます。

税務上の扱いは次の通りです。

10万円未満のもの 

取得時に全額損金にする(ことができる)

10万円以上20万円未満のもの 

一括償却(種類、耐用年数、使用月数に関係なく合算で3年均等償却する)とするか、通常通りに償却するかを選択

20万円以上

通常の償却

会社が減価償却した金額のうち、償却限度額以内の金額を損金とする。会社が減価償却していない場合は、税法上は一切損金算入できませんから注意が必要です。

償却超過額がある場合は次年度以降に繰越して、償却不足が生じたときだけ、不足相当額を申告調整で所得減算する(過去の超過額の認容)。償却不足額は繰越せません。

特別償却は初年度特別償却と一定期間の割増償却の2種類があります。

特別償却の償却不足額は1年間繰越せます。繰越した不足額は、その年の償却限度額に加算します。

中小企業者の少額資産の即時償却 … 中小企業者等が平成15年4月1日〜18年3月31日の間に取得した30万円未満の減価償却資産は、取得時に全額を損金算入することができます。また、18年4月1日以後に取得した場合は、年間300万円まで即時償却することができます。

繰越欠損金

青色申告法人の欠損金は法人税及び事業税では9年間繰越して、繰越した事業年度の所得金額から差し引くことができます。

繰越可能な期間については、たびたび改正が行われていますので、税制改正 ( 平成24年  27年税制改正 )を参照してください。

会社の経理では、累積欠損は利益が出ない限り減らすことができません (非常時には減資という手もあります … ) が、税務上の累積欠損は9年間 しか繰越せません。10年目に入ると、自動消滅します。
会社は累積欠損を抱えていても、税金(法人税・住民税・事業税)を払わなければならないことも、ありえます。

 


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