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【平成27年度税制改正のポイント】

1.地方法人税と別表1及び税率

平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、地方法人税(国税)が課税されます。事業開始日により 「平成26年10月1日前に開始する事業年度用」 か 「平成26年10月1日以後に開始する事業年度等用」 のいずれかを作成します。

平成26年10月1日前に開始する事業年度用  ・・・・ 従来の様式の別表1です。

平成26年10月1日以後に開始する事業年度等用  ・・・・ 別表1の下部が「地方法人税」の計算欄で、調整前の税額及び修正申告の場合の明細は別表1「次葉」に記載します。

申告書を確認したい方は ⇒ 国税庁HP

地方法人税は、法人税額に 4.4%の税率を掛けて算出します。施行後は、地方税の税率が(均等割以外)全て異なってきますので事前の確認が必要です。以下、施行後の標準税率をあげておきます。

 ◆ 道府県民税法人税割 ・・・ 3.2%(現行税率 5.0% )

 ◆ 事業税所得割 ・・・ 3.4%、5.1%、6.7%(現行税率 2.7% 、4.0%、5.3% )

 ◆ 地方法人特別税 ・・・ 43.2%、(現行税率 81% )

 ◆ 市町村民税法人税割 ・・・ 9.7%(現行税率 12.3% )

法人税の税率(普通法人)は平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、25.5%が23.9%に引下げられます。なお、中小法人等の年800万円相当額に対する軽減税率15%は継続されます。

平成26年10月1日前に開始する事業年度用の申告書(別表1(1))に「25.5%又は23.9%」と記載されていますが、23.9%が適用されるのは27年4月1日以後開始事業年度ですから、「 ・・・ 又は23.9%」は ?? です。

2.受取配当金

3区分であった受取配当金等が4区分に改正され、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

改     正     前

改     正     後

完全子法人株式等 (100%益金不算入)

完全子法人株式等 (100%益金不算入)

関係法人株式等

(負債利子控除後 100%益金不算入)

保有割合25%以上100%未満

関連法人株式等 

(負債利子控除後 100%益金不算入)

保有割合3分の1超、100%未満

その他の株式等

(負債利子控除後 50%益金不算入)

保有割合25%未満の株式等

及び証券投資信託

その他の株式等  ( 50%益金不算入)

保有割合5%超、3分の1以下

非支配目的株式等( 20%益金不算入)

保有割合5%以下

保険会社の場合は、40%益金不算入となります。改正後は、証券投資信託は100%益金算入ですが、「特定株式投資信託」に該当するものは非支配目的株式等と同じ扱いになります。

記載項目が多くなったため、「受取配当の額の明細」を付表に記載することになりました。付表には非支配目的株式等の欄もありますが、平成27年4月1日前に開始した事業年度では改正前の3区分に従って記載します。

3.繰越欠損金の控除

繰越欠損金を当期の所得金額から控除する場合の控除限度額は、中小法人では100%ですが、大法人では現行の 80% が縮小されます。

 ◆ 平成27年3月31日までに開始した事業年度 … 80%

 ◆ 平成27年4月1日~平成29年3月31日の間に開始した事業年度 … 65%

 ◆ 平成29年4月1日以後に開始した事業年度 … 50%

4.中小企業者の試験研究費特別控除

平成27年4月1日以後に開始する事業年度では、前期繰越額は控除できません。従って、別表6(7)の「前期繰越分」(11~15)の各欄は記載しません。

5.地方税均等割の税率(税額)区分基準

平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、都道府県民税及び市町村民税の均等割額の区分基準が改正されます。

判定基準は原則として法人税法が規定している「資本金等の額」ですが、無償増資や無償減資などによって欠損補填を行った場合は、 資本金+資本準備金 と 調整後の資本金等の額 を比較して大きい金額を税率区分の基準とします。

● 法人税法が規定している「資本金等の額」

株主から払い込まれた金額で、無償増資した場合会計上の「資本金」は増加しますが、法人税法上の「資本金等の額」は増加しません(無償増資分は株主への配当に当たります)。また、資本金を取り崩しても株主へ払い戻さない限り、法人税法上の「資本金等の額」は減少しません。

● 区分基準改正の背景

平成13年の商法改正によって自己株式の取得(税法上は資本金等の額が減少します)が進み、「資本金等の額」が企業規模の指標として適正でない事例が増えたこと。損失補填のために減資して企業規模を縮小しても「資本金等の額」は減らず、不相応な均等割額が生じること。

● 改正後の資本金等の額

調 整 前 の

資本金等の額

加算

平成22年4月1日以後に行った利益準備金・その他利益剰余金による無償増資の額

調 整 後 の

資本金等の額

減算

平成13年4月1日~平成18年4月30日の間に行った減資(払い戻しを除く)による欠損の補填額、平成18年5月1日以後に行った剰余金による欠損補填額

無償増資や無償減資などによる欠損補填がなければ、当然 調整前=調整後です。多くの中小法人は従来通りでしょう。

● 第6号様式、第20号様式の「資本金(出資金)」の記載欄が、3区分になります。

 

期末現在の資本金の額又は出資金の額 

 

期末現在の資本金の額及び資本準備金の額の合計額

法人税申告書別表5(1) 「差引翌期首現在資本金等の額」

期末現在の資本金等の額

 

 


製作・著作: 協進会管理人  ( 2015/06/09  )


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