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【平成24年度税制改正のポイント】

1.法人税率の引き下げと、復興特別法人税

平成24年4月1日以後開始事業年度から、税率が引き下げられます。

 

改正前

改正後

中小法人等

年800万円以下の部分

18%

15%

年800万円超の部分

30%

25.5%

大法人

 

30%

25.5%

公益法人

年800万円以下の部分

18%

15%

年800万円超の部分

22%

19%

平成24年4月1日以後開始事業年度から、復興特別法人税が課税されます。

●課税標準(対象)は法人税額で、税率は10%

●課税期間は、平成24年4月1日〜平成27年3月31日の間に開始する3事業年度 =   指定期間  

●復興特別法人税額からは復興特別所得税額を控除し、控除しきれない場合は還付請求します。

●平成24年4月1日以後に設立された法人の場合で、(B)に該当する場合は指定期間の最終年度で按分計算します。

(A)

指定期間

指定期間

指定期間

3ケ月

設立年度(9ケ月)

第2期(12ケ月)

第3期(12ケ月)

設立年度では課税標準の法人税額自体が月数按分されていますから調整しません。

 

(B)

指定期間

指定期間

指定期間

7ケ月

設立年度(7ケ月)

第2期(12ケ月)

第3期(12ケ月)

第4期(12ケ月)

第4期は、( 法人税額 × 5 ÷ 12 ) × 10%   になります。

 

復興特別法人税申告書 「別表一」 の15欄は「(14=法人税額)又は(14)× ― 」 となっていますが、 (B)に該当する場合は「(14)× ― 」 で税額を按分計算します。なお、 月数の端数は切上げです。

●復興特別法人税申告書

◆表一

各課税事業年度の復興特別法人税に関する申告書

平成24年4月1日以後開始課税事業年度分

◆表ニ

復興特別所得税額の控除に関する明細書

平成25年1月1日以後終了課税事業年度分

◆表三

外国税額の控除に関する明細書

平成24年4月1日以後開始課税事業年度分

◆表三の付表

各連結法人の外国税額の控除に関する明細書

平成24年4月1日以後開始課税事業年度分

●復興特別所得税

◆課税期間は平成25年1月1日〜平成49年12月31日

15%で課税される利子・配当の場合、復興特別所得税の税率は0.15 × 0.021 = 0.00315  (0.315%) になります。法人税及び復興特別法人税の申告の際には、両者の按分計算が必要になります ( 利子割の税率は5%ですから、3者の合計税率は20.315% )。

〔例〕 税引き後の利子の受取額が 580円 であった場合。

税込み額

580 ÷  0.79685 = 727

端数切捨て

天引き額は147円

所得税額及び復興特別所得税額

727 ×  0.15315 = 111

端数切捨て

 ・復興特別所得税額

111 ×  2.1 ÷ 102.1 = 2

四捨五入

按分計算は四捨五入

 ・所得税額

111 − 2 = 109

・利子割額

727 × 0.05 = 36 

端数切捨て

税額の合計

147円 

◆預金利息の場合は手取り額が130円以下では、復興特別所得税額は「0」になります。

税込み額

130 ÷  0.79685 = 163

所得税額及び復興特別所得税額

163 ×  0.15315 = 24

 ・復興特別所得税額

 24 ×  2.1 ÷ 102.1 = 0.4936… ⇒ 0

四捨五入

税込み額

131 ÷  0.79685 = 164

所得税額及び復興特別所得税額

164 ×  0.15315 = 25

 ・復興特別所得税額

 25 ×  2.1 ÷ 102.1 = 0.5142… ⇒ 1

四捨五入

所得税額と復興特別所得税額が明示されていればそれに従って処理すればいいのですが、両者が一括で記載されている場合や手取り額しか分からない場合は按分計算が必要です。国税庁の「記載の手引き」では先に復興特別所得税額を端数四捨五入で計算して、残額を所得税額とする方法が例示されていますが「合理的な方法」であればその他の処理方法でも構いません ( 手引きの但し書き )。

◆所得税の扱いと同様に、復興特別法人税額から復興特別所得税額を控除せず損金算入とすることもできます。

申告期限・納付期限とも法人税と同じです。なお、中間申告はありません。

復興特別法人税の指定期間を過ぎても、復興特別所得税は平成49年12月31日まで課税されます。指定期間以外の事業年度で預貯金の利息・配当金などで源泉徴収された復興特別所得税額がある場合は、復興特別法人税申告書を提出すれば還付されます。

指定期間終了後の各事業年度だけでなく、例えば平成24年3月1日〜平成25年2月28日が事業年度で、平成25年2月○日に預金利息を受取った場合も該当します。

法人住民税の法人税割の課税標準には復興特別法人税額は含まれません。従って、24年4月1日以後開始事業年度から法人住民税は減税になります。

2.200%定率法

定率法の償却率が定額法の2.5倍 ( 250%定率法 )から2.0倍 ( 200%定率法 ) に引き下げられました。

平成24年4月1日以後取得(供用)する減価償却資産から適用されます。

平成24年3月31日までに開始した事業年度に取得(供用)した減価償却資産については、従来の250%定率法を適用することができます。

平成19年4月1日以後取得(供用)し250%定率法を適用している資産については、所轄税務署への届出により200%定率法に変更することができます。ただし、個々の資産について250%定率法・200%定率法の選択はできません。一括変更が必要です。

250%定率法と200%定率法の比較等は 新減価償却制度 を参照してください。

3.貸倒引当金

平成24年4月1日以後開始事業年度から、大法人のうち次の業種以外は全額損金不算入になります。

◆銀行、保険会社その他これに順ずるもの
◆リース会社(本業の売買とみなされる部分の債権に限る)

上記以外の大法人でも、3年間は 経過措置として75%・50%・25%が損金算入限度額  となります。

別表11(1) < 個別評価する金銭債権 >          

別表11(1の2) < 一括評価する金銭債権 >             

 

 

 

令96条第1項第1号該当

14

 

令96条第1項第2該当

15

 

令96条第1項第3号該当

16

 

令96条第1項第4号該当

17

 

経過措置の適用を受ける場合

((14)(15)(16)又は(17))×

(25%、50%又は75%)

18

 

 

 

 

法   定   の   繰   入  率

5

 

繰   入   限   度   額

6

 

経過措置の適用を受ける場合

(6)× (25%、50%又は75%)

7

 

公益法人等の繰入限度額

8

 

4.寄付金

平成24年4月1日以後開始事業年度から、寄附金の損金算入限度額の算定方法が改正され
◆一般の寄附金の損金算入限度額は減額
◆特定公益法人分の損金算入限度額は増額

されました。

 

  一般の寄付金の損金枠

   特定公益法人分の損金枠

改正前

資本金等の額 × 2.5 /1,000 + 所得金額 × 2.5 / 100 ) ÷ 2

資本金等の額 × 2.5 / 1,000 + 所得金額 × 5 / 100 ) ÷ 2

改正後

資本金等の額 × 2.5 /1,000 + 所得金額 × 2.5 / 100 ) ÷ 4

資本金等の額 × 3.75/ 1,000 + 所得金額 × 6.25 / 100 ) ÷ 2

5.欠損金

●平成24年4月1日以後開始事業年度から、大法人については、 控除可能額は控除前所得金額の80% になります。

●繰越期間は9年間に延長されます(平成20年4月1日以後終了事業年度分に適用)。

●別表7(1)上段に控除可能額の計算欄が追加されています。

控 除 前 所 得 金 額   (1)

別表4「39の@」-別表7(2)「11」又は「23」

 

所得金額控除限度額

(1)×(80又は100)/100

 

事業年度

区       分

控除未済欠損金額

当 期 控 除 額

翌 期 繰 越 額

:  :

青色欠損・連結みなし欠損・災害損失

 

 

 

:  :

<以下8年分>

 

 

 

:  :

 

 

 

:  :

 

 

 

●事業税の所得割についても同様の扱いになり、6号様式別表9が改正されました。

6.その他別表等の改正

別表1(1)

普通法人等の申告書

改正前の税率と改正後の税率が併記されています

別表1(2)

公益法人等の申告書

別表4、別表5(1)、別表5(2)

法人税 ⇒ 法人税及び復興特別法人税、「損金の額に算入した」 ⇒ 「損金経理をした」の表記変更

別表3(1)

特定同族会社の留保金課税

「住民税額の計算の基礎となる法人税額」欄が、「中小企業者以外の法人(大法人)」と「大法人による完全支配関係がある中小企業者に」分かれています。

法人税額の特別控除関連

別表番号の変更 

●事業基盤強化設備/教育訓練費    改正前 別表6(15)  ⇒ 改正後 別表6(13)

●特別控除額の明細        改正前 別表6(27)  ⇒ 改正後 別表6(20)

第6号様式

●別表4の引用番号の変更

●「同上(期末資本金額)が1億円以下の普通法人のうち中小法人に該当しないもの ⇒ 非中小法人等 」が追加されています

様式番号の改正

●第6号様式別表4の4 ⇒ 第9号の2様式(利子割額の控除・充当・還付に関する明細書)

●第9号の2様式 ⇒ 第9号の3様式(利子割額の都道府県別明細書) 

 

 


製作・著作: (有) 協進会    2012/06/11   ( 2012/10 補筆 )


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