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法人の決算と申告  (1)−決算・申告の手順

普通法人 / 決算手続き / 法人税等の扱い

普通法人

■法人を収益事業で区分すると

一口に法人と言っても法人には色々な種類があります。当然区分の仕方も色々あると思いますが、ここでは、収益事業を行っているか否かで区分しておきます。

収益(営利)事業を行なう目的で設立されたもの … 「○○会社」と名前が付いているもので、株式会社、旧有限会社、合名会社、合資会社など。法人税法では、これらの会社を普通法人と言います。

収益(営利)事業以外の事業目的で設立されたもの … いわゆる公益法人(財団法人、社団法人、宗教法人、学校法人等)、協同組合、商工会などです。

法人税法では、町内会やPTAなども法人(人格のない社団)と見なして、収益事業を行っている場合は課税します。

収益事業を行っていれば、日常の取引についての会計処理以外に、決算及び税務申告が必要です。公益法人などが収益事業を行っている場合は、本来の(非収益)事業と収益事業を区分して会計処理を行わなければなりません。

ここからの話は普通法人(いわゆる会社)に絞ります。

■大法人/中小法人

法人税法では、資本金(出資金)が1億円を超える法人を大法人、1億円以下の法人を中小法人として区分しています。

中小法人の税率は年 800万円以下の部分には、低減税率が適用されます。

中小法人には税法上の優遇措置がとられています。

◆交際費

中小法人は一定額までは損金算入です。大法人は交際費の一部が、一定額まで損金算入。 26年税制改正

◆貸倒引当金

貸倒引当金の損金算入限度額は、実績率だけでなく法定繰入率も認められる。

大法人は銀行・保険業等以外は全額損金不算入 24年税制改正

◆試験研究費

試験研究費を支出している場合の法人税額特別控除制度 … etc

地方税でも、小さな会社ほど税負担が少なくなるような仕組みになっています。これを利用して事業規模を大きくせずに、別法人として独立させている例が多々あります(税負担の軽減だけが目的ではないでしょうが)。

■会計期間と税務申告

銀行業等を除き、任意の期間を定めることができます。例えば「9月21日から翌年9月20日まで」とすることもできます。また、1年間だけでなく、6ケ月とすることもできます。

原則として事業年度終了日の翌日から2ケ月以内に税務申告(確定申告)をしなければなりません。


決算手続き

会社の決算

会社の決算は会社等の法令に従って実施しなければなりません。

監査や株主総会等については ⇒ 会社法

決算書類(貸借対照表、損益計算書等)の作り方 ⇒ 会社法

税務申告 ⇒ 法人税法及び地方税法

決算・申告の手順は ( この部分は旧商法の規定です。会社法の下では、監査役や取締役会の設置等も定款により様々異なりますので、会社の実態に即して日程を組んでください。

新 事 業 年 度 開 始 日

3週間+α 

2ケ月

以内

@

取締役会で計算書類を承認

A

取締役が監査役へ計算書類を提出

 

5週間以上

(大法人は

7週間以上)

 

4週間

以内

 

2週間

以内

 

B

取締役が監査役へ附属明細書を提出

3週間

以上

C

監査役が監査報告書を取締役に提出

 

D

株主総会での承認 ⇒ 決算の確定

 

 

E

税務申告 ⇒ 法人税・消費税及び地方税

 

 

 

 

原則として、新事業年度開始日 (事業年度終了日の翌日) から2月以内に税務申告をしなければなりません。また、株主総会の5週(資本金1億円超の法人は7週)前までには監査役へ計算書類を提出しなければなりません。
CとDで1週間かかるとすれば、新事業年度開始日から @までの期間は 3週間+α  しかありません。決算は正確でなければなりませんが、同時に迅速でもなければなりません。

なお、税務申告は申請をすれば期限を1ケ月延ばすことができますが、その間の利息相当分を上乗せして税金の払わなければなりません。

〔余談〕

新会社法(及び旧有限会社)では監査役を置くか否かは任意です。「監査役を置く」と定めれば当然決算に際しては会計監査を実施しなければなりません。
(家族全員を役員にするため)名前だけの監査役を作り、経理(会計)の知識がほとんどない人を監査役にして、決算期に無駄な時間と労力を使っている小さな会社が多々在ります。

中間決算

上の話は通常の決算の場合です。法人税等の納税額が一定額以上の場合は、翌年の半期が過ぎると中間申告をしなければなりません。

前年度の申告額×1/2(正確には月割り計算をします) 

仮決算(中間決算)による申告 

のいずれかを選択します。
仮決算による申告の場合は、会社法の「本決算」ではありませんから、会社法の手続きは不要です。

中間決算は主に次の場合に実施します。

今期の業績が振るわず、(前年度の申告額×1/2)では税額が多すぎることが予測される場合  

大企業等で、中間決算に基づいて中間配当等を実施している場合

なお、事業年度が6ケ月の法人の場合は、当然ながら中間決算は不要です。


法人税等の扱い

法人税等の扱い

損益計算書は、次の順に記載していきます。

経常損益の部   
  営業損益 売上高−売上原価−販売費・管理費(a)
  営業外損益 受取配当金・受取利息−支払利息など
差引経常損益   
特別損益の部   
税引前当期損益   
法人税等  当期分の法人税・住民税・事業税の年額です 
税引後当期損益  

会社の支払う税金のうち主なものは法人税、法人住民税(以下住民税)、事業税、消費税です。

法人税等は特別な税金です。会社の損益計算上は「費用」ですが、損益計算書では最後に別個に記載します。これは、利益処分に近い扱いです。

税抜経理の場合の消費税は税法上も損金(費用)ですから、(a)欄に「租税公課」の一部として記載します。

法人税と地方税

法人税は国税ですから、申告書は所轄の税務署に提出します。なお、消費税は国税分と地方税分を1枚の申告書に記載し、申告書は所轄の税務署に提出します。

地方税は道府県民税、事業税、市町村民税の3種類です。道府県民税、市町村民税を併せて通称「住民税」といいます。

事業税は都道府県が徴収しますから、道府県民税と事業税は申告書の用紙が1枚になっています。

東京都の区部に所在する会社は、道府県民税と市町村民税を併せた「都民税」を申告・納付します。

申告書の提出期限は、原則として法人税・地方税とも事業年度終了日の翌日から2ケ月以内です。

異なる都道府県、異なる市町村に支店・営業所・工場などを所有している会社は、地方税についてはそれぞれの都道府県、市町村に対して申告・納付の義務があります。
このような会社を分割法人といいます。

地方税のほとんどは、法人税の計算結果を基にして計算します。法人税の申告書の「税金に関する明細書」には、地方税の当期確定額も記載しなければなりません。
法人税と地方税の申告書はバラバラに作成することはなく、1セットにして作成します。

 


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