◆ トップページ 【退職所得の源泉徴収】 |
■ 所得税額及び住民税額の計算 退職所得に係る所得税は次の手順で計算します。
1.通常の場合の所得税額の計算 退職所得にかかる所得税は
で求めます。ただし、役員退職金で役員としての勤続年数が5年以下の場合は、「×1/2」 は適用されません。 退職所得控除額
退職所得の源泉徴収税額の計算式 (平成25年以降分 単位:円)
〔例:勤続年数23年5ケ月、退職金 1800万円、申告書の提出ありの場合〕
2.同年中に他者(社)からも退職手当の支給を受けている場合 〔例〕
3.その他特殊な場合 … 次のような場合には、勤続年数・退職所得控除額の計算が通常の場合と異なりますから、税務署などへ問い合わせてください。
4.退職所得に係る住民税 給与から徴収する住民税額とは異なり、所得税同様支払時に税額を確定して徴収します。計算手順は次の通りです。
所得税の場合と異なり、(退職手当の額-退職所得控除額)を 1/2 にはしません。また、地方税ですから税額表は市町村ごとに異なります(「住民税特別徴収の手引」でご確認ください)。 ■ 徴収した税額の納付等 1.源泉徴収票・特別徴収票 退職後1月以内に「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を作成して本人に交付します。また、法人の役員については「退職所得の源泉徴収票」を税務署に、「退職所得の特別徴収票」を市町村に提出します。 なお、「退職所得の源泉徴収票」と「退職所得の特別徴収票」は1枚で両者を兼ねています。また、現在の住所地と1月1日現在の住所地が異なる場合は、1月1日現在の住所地のある市町村に提出します。
※1~※3欄には、適用される法律(所得税法・地方税法)が第何条かが記載されていますが、次の区分になっています。
2.徴収税額の納付
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【報酬・料金の源泉徴収】 税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士等に仕事を依頼してその報酬を支払うときには、所得税を源泉徴収して報酬の支払者の方から徴収した所得税を納付しなければなりません。また、保険会社等が外交員に対して支払う報酬も同様です。 例えば司法書士さんに、定款の変更登記等を依頼した場合には、次のような請求書を受け取ることになります。
請求額の 96,811円を支払った場合には、次の処理が必要です。給与・賞与の支払時と同様、源泉所得税の 9,189円が納付時まで預り金になります。
「○○士」と付く専門家の報酬支払時には、概ね10%の税率で源泉徴収する(同一人に対する1回の支払金額が100万円を超える場合は、超える部分は20%)となっていますが、司法書士の場合は(報酬額-10,000円)×10%であったり、「○○士」と付いていても、源泉徴収の対象でない場合もあります。請求書で確認するのが一番確実な方法でしょう。なお、平成25年~平成49年の間に生じるものについては、復興特別所得税も併せて源泉徴収する必要があります。 源泉徴収した(預り)所得税は、給与・賞与と同じ納付書にその明細を記載して納付します。納期限も給与・賞与と同です。 「報酬・料金・契約金の支払調書」を2部作成し、1部は業務を依頼した「○○士」さんへ送り、1部は他の法定調書とともに税務署に提出します(翌年の1月末まで)。「○○士」さんへ送るのは、「○○士」さんの確定申告に必要なためです。
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株式会社の株主・有限会社などの社員(出資者)に配当金を支払った時には、20%の税率で所得税を源泉徴収しなければなりません (平成25年3月31日まで、上場株式等については所得税7%、地方税3% … 次項参照)。また、平成25年~平成49年の間の配当金には、所得税額の2.1%の税率で復興特別所得税を合わせて徴収する必要があります。 配当明細書に決まった形はありませんが、次の項目等を記載すればよいでしょう。
K株式会社では、第△期に 300万円の配当を実施しました。
源泉徴収した(預り)所得税は、納付書(「配当等の所得税徴収高計算書」=通称マル配 )にその明細を記載して納付します。納期限は配当実施日の翌月10日です。 支払確定日から1月以内に「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」を作成して税務署に提出します。この調書は株主(社員)ごとに作成しますが、1回の配当の支払金額が10万円以下(配当計算期間が1年未満の場合は5万円以下)の人については、提出不要です。
なお、配当を受ける人で1回の配当の税込み受取り額が10万円(配当計算期間が1年未満の場合は5万円)を超える人については、確定申告が必要です。所得金額が高額(数千万円程度)でなければ、配当控除によって還付申告になる場合がほとんどです。
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預貯金の利子・配当金等は源泉徴収された残額を受け取ります。例えば、普通預金の通帳に 「 リソク 1,200」 とあれば、税引後の額が 1,200円です。
税率は以下のようになっています。 ◆預貯金、公社債等 … 国税(所得税)15% 、 道府県民税(利子割)5% ◆配当金
◆復興特別所得税 … 平成25年~平成49年の間に生じるものについては、所得税額の2.1%の税率で徴収されます。 ◆所得税額と復興特別所得税額の按分計算 15%で所得税が課税される利子等の場合、復興特別所得税の税率は0.15 × 0.021 = 0.00315 (0.315%) になります。法人税及び復興特別法人税の申告の際には、両者の按分計算が必要になります ( 利子割の税率は5%ですから、3者の合計税率は20.315% )。 〔例〕 税引き後の利子の受取額が 1200円 であった場合。
所得税額と復興特別所得税額が明示されていればそれに従って処理すればいいのですが、一括で記載されて入る場合や手取り額しか分からない場合は按分計算が必要です。国税庁の「記載の手引き」では先に復興特別所得税額を端数四捨五入で計算して、残額を所得税額とする方法が例示されていますが「合理的な方法」であればその他の処理方法でも構いません ( 手引きの但し書き )。 源泉徴収される所得税も利子割も個人にかかる税金で、法人には納税義務のない税金です。個人からは源泉徴収するが法人からは源泉徴収しない … そんなことは、現実にはほとんど不可能です。そこで、法人税・法人住民税(道府県民税)の申告の際に、源泉徴収された所得税・利子割は、法人税額・住民税額から控除することになっています。 上の仕訳で、所得税と利子割を別記しているのは、法人税・道府県民税申告書作成の際にこの金額が必要になるからです。申告書の書き方について興味のある方は、それぞれ次を参照してください。
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