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【所得税】


〔1〕 制度の概要

● 法人の所得には法人税は課税されますが、所得税は課税されません。源泉徴収制度によって、法人であっても利子や配当の支払の際には所得税が徴収されていますので、法人税の申告に当たって法人税額から控除することで精算します。所得税の控除の処理は別表1で行いますが、その前に控除する所得税額を当期の所得金額に加算しておきます。

なお、完全子法人、発行済み株式の1/3超を直接保有している他の内国法人から受取る配当については、令和5年10月1日以後は源泉徴収は行われないことになりました。

● 税額控除(所得加算)せずに損金経理のままにしてもかまいませんが、税額控除するほうが最終の税額は少なくなります。

● 所得税額の全額が税額控除対象になるとは限りません。配当金等に係る所得税額については、元本の所有期間割合に応じた金額が控除の対象になります。別表6(1)では、次のように5つに区分して税額控除額を算定します。

 

平成28年1月1日前

平成28年1月1日以後

令和2年4月1日以後

1

預貯金の利子及び合同運用信託の収益の分配

公社債及び預貯金の利子、合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託を除く)の収益の分配並びに特定目的信託の社債的受益権の金銭の分配

公社債及び預貯金の利子、合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託を除く。)の収益の分配並びに特定公社債等運用投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権に係る剰余金の配当

2

公社債の利子等

剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配及び金銭の分配(みなし配当等を除く)

剰余金の配当(特定公社債等運用投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権に係るものを除く。)、利益の配当、剰余金の分配及び金銭の分配 (みなし配当等を除く。)

3

剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配及び金銭の分配(みなし配当等を除く)

集団投資信託(合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託を除く)を除く)の収益の分配

集団投資信託(合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託を除く。)を除く。)の収益の分配。

4

集団投資信託(合同運用信託を除く)の収益の分配

割引債の償還差益

割引債の償還差益

5

その他 ⇒ 料金・報酬等

その他 ⇒ 料金・報酬等

その他 ⇒ 料金・報酬等

● 所得税に併せて徴収されている復興特別所得税は、所得税と合算して法人税額から控除します。

社が当期に受け取った利子・配当等の明細は次の通りです。

 区    分

受取日

収入金額

(税込額)

所得税額及び

復興特別所得税額

 備  考

預貯金の利子

令 6.8.12

5,050

773

 

令 7.2.10

7,555

1,157

 

A株式

令  6.10.5

458,000

93,523

A株式は短期所有株式です。配当を受け取った 5,000株のうち、3,000株は所有期間が3ケ月、 2,000株は1ケ月です。

B株式

令  6.6.25

850,000

173,570

期中の異動なし。

M投資信託は証券投資信託です。

X株式

令  7 .3.22

183,000

37,368

M投資信託

 令  6.10.30

56,000

8,576

2〕 別表6(1)

区分の「1」以外に該当するものがある場合は、はじめに中段より下の「計算」欄を作成します。「公社債の利子等、剰余金・利益の配当 … に係る控除を受ける所得税の額の計算」は、個別法か銘柄別簡便法のいずれかを選択して行いますが、種類(銘柄)ごとに有利となる方を選択することができます。

社の場合は、所有している銘柄も少ないので個別法で計算します。A株式については所有期間に応じて、3,000株相当額と  2,000株相当額を別行に記載します。

区              分

収  入  金  額

左に課せられる所得税額

控除を受ける所得税額

公社債及び預貯金の利子、合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託を除く。)の収益の分配並びに特定公社債等運用投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権に係る剰余金の配当

1

12,605

1,930

1,930

剰余金の配当(特定公社債等運用投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権に係るものを除く。)、利益の配当、剰余金の分配及び金銭の分配 (みなし配当等を除く。)

2

1,491,000

304,461

228,108

集団投資信託(合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託を除く。)を除く。)の収益の分配

3

 56,000

8,576

8,576

割引債の償還差益

4

 

 

 

その他

5

 

 

 

6

1,559,605

314,967

238,614

剰余金・利益の配当及び剰余金及び金銭の分配、集団投資信託の収益の分配又は割引債の償還差益に係る控除を受ける所得税額の計算

銘    柄

収入金額

所得税額

計算期間

元本所有期間

所有期間割合

控除を受ける所得税額

A株式

274,800

56,114

12

3

0.250

14,028

A株式 

183,200

37,409

12

1

0.084

3,142

B株式

850,000

173,570

12

12

1.000

173,570

X株式

183,000

37,368

12

12

1.000

37,368

M投資信託

56,000

8,576

12

12

1.000

8,576

銘柄別簡便法

 

その他に控除をうける所得税額の明細

この欄は料金・報酬等に係る所得税額の明細を記載します(略)

 所得税額及び復興特別所得税額  314,967円のうち 238,614円 が税額控除される額です。税額控除の対象とならなかった 76,353円 は損金経理のままです。

〔3〕 申告調整 

計算結果を別表4に転記します。社の場合は、以上の調整で所得金額が確定しました。

〔 別表4 〕 67,331,294 = 44,351,717 + 23,600,423 - 620,846

所得税額は法人税額から、復興特別所得税額は復興特別法人税額から控除します。

区         分

総    額

留    保

社 外 流 出

当期利益又は当期欠損の額

             

               

配 当

1

その他

11

加 算

11

1

1

1

1

1

減 算

11

1

11

1

 1

1

      仮           計

11

67,330,790

 

44,343,693

 

△   613,600

  23,600,697

                    :

 

 

 

 

     仮           計

67,330,790

44,343,693

 

△    613,600

  23,600,697

寄附金の損金不算入額

27

356,683

その他

356,683

法人税額から控除される所得税額

29

238,614

その他

238,614

1

11

11

1

1

 合             計      

67,926,087

44,343,693

 外

 

△   613,600

24,195,994

                  :

 

 

 

 

   所得金額又は欠損金額     

67,926,087

44,343,693

 

1△   613,600

  24,195,994

 〔補足〕 別表4の記載金額が正しい否かの検算 

                   67,926,087 = 44,343,693 + 24,195,994 - 613,600      


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