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【会社の解散・清算と節税】


■ 消費税

清算中でも資産の売却等の収入があり、基準期間の売上高が1千万円を超えていれば(課税事業であれば)消費税の納税義務が生じます。ただし、清算中は新たに商品・原材料の仕入れをすることはありませんから、簡易課税を選択した方が有利になる場合があります。
本  則  課  税 簡  易  課  税

課税標準に対する消費税額   8,500

控除対象仕入税額         0

差引消費税額         8,500 

課税標準に対する消費税額                    8,500

控除対象仕入税額   8,500×90%(卸売業)   7,650

差引消費税額                               850

本則課税から簡易課税に変更する場合は、「消費税簡易課税制度選択届」を清算年度開始日の前日までに提出しておくことが必要です。

■ 役員の退職金

残余財産の株主への分配額のうち資本金等(払込資本)を超える部分は、税法では配当とみなします。小規模な会社では、役員のほとんどは株主でしょうから、全額を配当に回さず一部を役員退職金とすることも、要検討事項です。

●配当金

配当控除の適用が受けられますが、配当金は他の所得と合算され総合課税の対象となります(所得税は累進課税)

●退職金

税額は、(退職金−勤務年数に応じた退職所得控除)×0.5×税率 (分離課税)

なお、異常に高額の役員退職金は、後に更生の対象となる可能性がありますので、適正額の範囲に収めるのが無難でしょう。

〔参考〕 功績倍率法による適正額 

 適正退職金額=退職時の役員報酬月額 × 役員在職年数 × 功績倍率 ( 3.0 〜 1.5 )

■ 債務免除益の受入れ

債務超過を避けるため債権者に債権を放棄してもらう場合、解散の前と後では 債務超過と特別清算 で触れている通り、大きな差が生じる可能性があります。何時債務免除を受入れても債務超過になる場合は除いて考えてみましょう。

◆ 解散の前に債務免除を受入れる場合

 

債務免除益

課税所得金額

債務免除益が、控除可能な繰越欠損金 ± 当期損益(A)を超えると、課税所得が発生します。債務免除を受ける金額を、Aと同額とすれば、所得金額は「0」になります。

 

繰越欠損金 ± 当期損益

(A)

  控除可能な繰越欠損金

平成13年4月1日前開始事業年度

  5年

平成13年4月1日以後開始事業年度〜平成20年4月1日前終了事業年度

  7年

平成20年4月1日以後終了事業年度〜平成29年4月1日前開始事業年度

  9年

平成29年4月1日以後開始事業年度

10年

◆ 解散後の後(清算事業年度)に債務免除を受入れる場合 … 清算年度に残余財産がないと見込まれるときは、期限切れ欠損金の損金算入制度(平成22年10月1日以後に解散した場合)が適用されます。

●期限切れ欠損

金の算定方法

期限切れ欠損金 = @ 解散年度までの繰越欠損金額の合計額A 清算年度の青色欠損金額又は災害損失金額 です

@ は別表5(1)の「期首現在の利益積立金額」の「差引合計額」ですが、清算年度終了時点の資本金等の額がマイナスの場合はその額を加えた金額になります。実際の金額の算定は、法人税申告書別表7(3) (事業税の課税所得の計算は第6号様式別表11) で行います。

別表7(3)

(  ………   解散の場合の欠損金の損金算入に関する明細書 )

 

 

1

 

所得金額差引計

 別表四「38の@」−(7)

9

4,00,000

 

2

 

3

当期控除額

 (4)、(8)、(9)のうち少ない金額

10

4,000,000

 

4

適用年度終了時の前期繰越欠損金額

5

10,000,000

調整前の欠損金の翌期繰越額

11

 

 

適用年度終了時の資本金等の額

 別表五(一)「36のC」(プラスの場合は0)

6

欠損金又は災害損失金の当期控除額

 別表七(一)「4の計」

7

3,000,000

欠損金額からないものとする金額

 (10)と(11)のうち少ない金額

12

 

 

差  引  欠  損  金  額

8

7,000,000

● 残余財産の

有無の判定

残余財産の有無の判定は清算年度の終了時点で行います。清算費用及び清算年度の住民税均等割の未払金だけが負債に残り、それと同額の現金・預金だけが資産に計上されてような状況が該当します。 

現金・預金

31,100

 未払法人税等

 未払費用

29,100

2,000

 

31,100

 

31,100

【 補足 】

一般には、残余財産がないと見込まれる場合 = 債務超過 とされています。上記事例では(厳密には)資産 = 負債であり債務超過ではなく、期限切れ欠損金の損金算入はできない(?)。役員からの借入金 ¥5,000,000 の免除を受け入れて上記の状態になったとします。

通常の繰越欠損金控除額が ¥2,000,000 であったとすると ¥3,000,000 が課税所得になり、実行税率を35%とすると             

         3,000,000 × 0.35 = 1,050,000

 が清算年度の租税債務になります。この額を負債に加えて判断すると実質債務超過 となり、期限切れ欠損金の損金算入の適用が可能になります。  国税庁「質疑高等事例 残余財産がないと見込まれるときの判定について」

現金・預金

31,100

 未払法人税等

 未払費用

 債務超過

1,050,000

2,000

△1,020,900

 

31,100

 

31,100

● 繰越欠損金

と期限切れ欠損金

清算年度に控除可能な繰越欠損金と期限切れ欠損金の両方がある場合は、繰越欠損金 ⇒ 期限切れ欠損金 の順に控除します(会社更生法や民事再生法等の適用を受ける場合を除 く ) 。

繰越欠損金を当期の所得金額から控除する場合、大法人には控除限度割合がありますが、大法人であっても清算年度では適用されず、100%控除になります。

● 添付書類

清算年度の終了時点の実態貸借対照表を添付します。現金・預金以外の資産がある場合は、処分価格での評価額とします。

■ 土地等不動産の売却 

時価が帳簿価額を相当上回る不動産を所有している場合、債務免除の受入れと同様の状況が生じます。

解散時の貸借対照表

現 金・預 金

不  動  産

1,000

1,000

負    債

2,000

資 本 金

欠 損 金

1,000

△ 1,000

合    計

2,000

合    計

2,000

不動産が 2,000 で売却できる場合、売却益が 1,000 出ます。

売却が解散前の場合

欠損金の全額が控除可能欠損金であれば、売却益に関しては ± = 0  になりますが、期限切れ欠損金が含まれていれば課税所得が増えます。

売却が解散後の場合

課税所得金額 = 1,000 (売却益) − 1,000 (欠損金) = 0 で、 期限切れ欠損金の損金算入も適用可能となりますが、 売却益>欠損金の場合は(売却益−欠損金)が課税対象の所得金額になります。


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