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【みなし配当と株主の税務】


■ みなし配当

残余財産の分配額のうち資本金等(払込資本)を超える部分は、会社法では配当に該当しませんが、税法では配当とみなします。

残余財産

 

払込資本の払戻し

 

 

留保利益の分配

実質的に配当とみなされる額

現金・預金

 

18,300,000

未払法人税等

1,500,000

 

 

 

 

資  本  金

10,000,000

払込資本の払戻し分

株式総数を 200とすると、1株当たりの分配額は 84,000円で、みなし配当金額は 34,000円 

利益積立金額分=みなし配当

利益積立金額

6,800,000

残余財産の分配が1回だけの場合は、税務上の利益積立金額相当額がみなし配当額なので計算は簡単ですが、清算期間が長期に亘り、中途に一部財産の分配を行う場合は、次のような計算が必要です。

残余財産

の分配額

分配直前の資本金等の額 ×

残余財産分配額

×分配対象株式の総数

み  な  し

配当金額

分配直前の期末帳簿純資産額

分配直前の株式の総数

 みなし配当に関する税務

株主への通知

配当金交付の事由とその発生日、1株当たりのみなし配当金額

所得税の源泉徴収

通常の配当と同様の税率で所得税(及び復興特別所得税)を源泉徴収 し、徴収日の翌月10日までに納付しなければなりません。

支払調書

支払確定日から1ケ月以内に、支払調書及び支払調書合計表を作成し税務署に提出し、同時に株主に対しても支払調書を送付します。

■ 株主の税務

株主が法人の場合

残余財産の分配として交付を受けた金額のうち、払込み分と配当金部分を分けて処理する必要があります。

説例 : K社が解散し、残余財産の分配として1株当たり 84,000円 の交付を受けた。分配時のK社の1株当たり資本構成は、資本金等が 50,000円、利益積立金額は 34,000円 である。

帳簿価額が 50,000円 以下の場合

帳簿価額が 50,000円 以上の場合

預金

84,000  

有価証券

譲渡益

受取配当金

42,000

8,000

34,000

預金

譲渡損

 

84,000

6,000

有価証券

受取配当金

 

56,000

34,000

 

●受取配当金の益金不算入 … 通常の配当同様、受取配当金の益金不算入の適用があります。短期所有株式に係る益金算入は適用されません。

●所得税額控除 … 源泉徴収された所得税額(及び復興特別所得税)は、法人税額からの控除対象となります。

株主が個人の場合

残余財産の分配として交付を受けた金額のうち、払込み分と配当金部分を分けて処理する必要があります。

説例 : K社が解散し、残余財産の分配として1株当たり 84,000円 の交付を受けた。分配時のK社の1株当たり資本構成は、資本金等が 50,000円、利益積立金額は 34,000円 である。

受取配当金    34,000円

源泉徴収税額はその年分の確定申告で税額控除、配当金額については配当控除の適用あり。

株式の譲渡収入   50,000円

取得時の原価によって譲渡所得・譲渡損失が生じます(分離課税)。


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