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令和5年10月1日以後に終了する課税期間分 「消費税申告書の書き方」

令和5年10月1日にインボイス制度が始まり、経過措置として次の措置が取られています。

1.免税事業者からの課税仕入れ等については一定期間、仕入れ額の一定割合を仕入税額とみなす
  期     間 割  合
令和5年10月1日から令和8年9月30日 仕入税額相当額の80%

令和8年10月1日から令和11年9月30日

仕入税額相当額の50%

2.インボイス制度の開始に合わせて免税事業者から課税事業者になった場合、控除対象仕入税額を(売上等に係る)消費税額の80%とすることができる(簡易課税でみなし仕入れ率が80%の場合に相当)。

  ● 適用期間は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間

  ● 事前の届出は不要で、確定申告書に「2割特例」の適用を受ける旨を付記する(申告書の該当項目に〇を付ける)

  ● 一般の申告・簡易課税のどちらを選択していても「2割特例」の適用を受けることができる

以下経過措置に関係する事項を記述します。申告書の作成手順は 一般用申告書(標準税率10%用) 簡易課税の申告書(標準税率10%用) をお読みください。

Ⅰ 一般の申告で免税事業者からの課税仕入が有る場合

付表2-3 

計算順序は、次の通りです。「11欄」及び「12欄」が経過措置により増えた項目です。

 課税売上割合 ⇒ 課税仕入等の税額(控除する仮払消費税額)⇒   控除額 

【付表2-3】

 

税率6.24%適用分(A)

税率7.8%適用分(B)

合    計

 

課税売上額(税抜き)

返還(返品・値引き・割戻し)差引後の税抜き額です

 

免税売上額

 記載しません

(A)+(B)の合計額を記載

非課税資産の輸出等の金額、海外支店等へ移送した資産の価額

(A)+(B)の合計額を記載

  課税資産の譲渡等の対価の額 ( ①+②+③ )

 (申告書第一表の⑮欄へ転記)

 

課税資産の譲渡等の対価の額(④の額)

④の金額に同じ

非課税売上額

 (A)+(B)の合計額を記載

  資産の譲渡等の対価の額        ( ⑤+⑦ )

 (申告書第一表の⑯欄へ転記)

  課税売上割合(④÷⑦)

[   %] 端数切捨て

 

課税仕入れに係る支払対価の額(税込)

返還(返品・値引き・割戻し)差引後の税込み額です

 

課税仕入れに係る消費税額 (⑨×6.24÷108) (⑨×7.8÷110)  
免税事業者等からの経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額(税込) 追加された項目です

免税事業者等からの経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る消費税相当額

特定課税仕入れに係る支払対価の額

記載しません

(該当事項なし)

(税込み額です)

⑩⑫⑭⑯は

税抜経理で積上方式により経理処理している場合は「仮払消費税」の合計額とすることができる

特定課税仕入れに係る消費税額 (⑪×7.8÷100)
課税貨物に係る消費税額    

(*)

 

 

 課税仕入れ等の税額の合計額

 ⑩+⑫+⑭±⑯

 

課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の場合

⑰の金額と同額です

 

課税売

上高が

5億円

超又は

課税売

上割高

が95%

未満の

場 合

⑰のうち課税売上にのみ要するもの

課税品の仕入高、課税売上に関連する経費(主に販売費)など

⑰のうち課税売上と非課税売上に共通して要するもの

経費(主に一般管理費)、固定資産の取得費等

個別対応方式により控除する課税仕入等の税額

 ⑲+(⑳×④÷⑦)

一括比例配分方式により控除する課税仕入等の税額

 ⑰×④÷⑦

 

 

(*)

 

 

 

(*)

 

 

 

(*)

 

 

 

控除対象仕入税額

課税売上割合が95%以上の場合は⑱の金額、95%未満の場合は㉑又は㉒の金額

 

控除過大調整税額 (*)

 

 

 

 貸倒回収に係る消費税額

  

 

 

 

 

Ⅱ  2割特例

一般の申告書でも簡易課税の申告書でも、付表6を作成(記載)して該当項目を申告書(第一表及び第二表)に転記し、納税額等を計算するだけです。

 

一般の申告書

簡易課税の申告書

通常の作成手順

 付表2- 3 ⇒ 付表1- 3  ⇒ 申告書(第一表及び第二表)

 付表4-3 ⇒ 付表5-3(控除対象仕入税額の計算) ⇒  付表4-3 ⇒ 申告書(第一表及び第二表)

2割特例の作成手順

 付表6 ⇒ 申告書(第一表及び第二表)

 付表6 ⇒ 申告書(第一表及び第二表)

【付表6】
Ⅰ 課税標準額に対する消費税額及び控除対象仕入税額の計算の基礎となる消費税額

区        分

税率6.24%適用分

税率7.8%適用分 

合       計

課税資産の譲渡等の対価の額

 第二表⑤欄へ

 第二表⑥欄へ

 第二表⑦欄へ

課   税   標  準   額

000 

000 

  第二表①欄へ       000 

課税標準額に対する消費税額

②×6.24/100

 第二表⑮欄へ

②×7.8/100

 第二表⑯欄へ

 第二表⑪欄へ

貸倒回収に係る消費税額

 

 

 第一表③欄へ

売上対価の返還等に係る消費税額

 

 

 第二表⑰⑱欄へ

控除対象仕入税額の計算の基礎となる消費税額 

③+④-⑤

Ⅱ 控除対象仕入税額とみなされる特別控除税額

区        分

税率6.24%適用分

税率7.8%適用分 

合       計

特別控除税額  (⑥×80%)

 

 

 第一表④欄へ

Ⅲ 控除対象仕入税額とみなされる特別控除税額   

区        分

税率6.24%適用分

税率7.8%適用分 

合       計

貸 倒 れ に 係 る 税 額      第一表⑥欄へ

【 申告書 第二表 】   

   付表6から転記する項目です。

 課 税 標 準 額    ※申告書(第一表)の①欄へ

1

0 0 0  

 

課税資産の譲渡等の

対価の額の合計額

3 % 適 用 分

2

 

4 % 適 用 分

3

 

6.3 % 適 用 分

4

 

6.24  % 適 用 分

5

 

7.8  % 適 用 分

6

 

(   合       計    )

7

 

特定課税仕入れに係

る対価の額の合計額

6.3 % 適 用 分

8

 

7.8  % 適 用 分

9

 

(   合       計    )

10

 

 

 消 費 税 額      ※申告書(第一表)の②欄へ

11

 

⑪の内訳

3 % 適 用 分

12

 

4 % 適 用 分

13

 

6.3 % 適 用 分

14

 

6.24  % 適 用 分

15

 

7.8  % 適 用 分

16

 

 

 返還等対価に係る税額   ※申告書(第一表)の⑤欄へ

17

 

⑰の内訳

売上げの返還等対価に係る税額

18

 

特定課税仕入れの返還等対価に係る税額

19

 

 

地方消費税額の課税

標準となる消費税額

(   合       計    )

20

 

4 % 適 用 分

21

 

6.3 % 適 用 分

22

 

6.24% 及び 7.8% 適用分

23

 

【 申告書 第一表 】   

課税標準額

第二表の該当金額を転記

消費税額

控除過大調整税額

(簡易課税申告書では貸倒回収に係る消費税額)

付表6の該当金額を転記

控除対象仕入税額

付表6の該当金額を転記

返還等対価に係る税額

第二表の該当金額を転記

貸倒れに係る税額

付表6の該当金額を転記

控除税額小計

 ④+⑤+⑥

控除不足還付税額

 ⑦>②+③ の場合 ⑦-②-③の金額

差引税額

 ②+③>⑦ の場合 ②+③-⑦の金額

中間納付税額

当期分の中間納付額を記載します

納付税額

 ⑨-⑩>0 の場合の金額

中間納付還付税額

 ⑨-⑩<0 の場合は還付請求します

修正申告の場合

 

 

 

 

課税売

上割合

課税資産の譲渡等の対価の額

簡易課税ではそれぞれ「この課税期間の課税売上高」「基準期間の課税売上高」

資産の譲渡等の対価の額

課税

標準

控除不足還付税額

 ⑧の金額

差引税額

 ⑨の金額

譲割

渡額

還 付 額

 ⑰ × 22 ÷ 78

納 税 額

 ⑱ × 22 ÷ 78

中間納付譲渡割額

 

納付譲渡割額

 ⑳ - ㉑ >0 の場合

中間納付還付譲渡割額

 ⑳ - ㉑ <0 の場合は還付請求します

修申

正告

 

 

   合     計     額

消費税及び地方消費税の合計額( ※ 還付請求額の場合は-を付して記載)

⑦~⑨、⑪⑫、⑲⑳、㉒㉓の各欄はそれぞれ計算します。

申告書 第一表の「参考事項」の下「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」に「〇」を付しておきます。

 

申告書の用紙などは 国税庁の該当ページ からダウンロードしてください

 

製作・著作 協進会管理人 山元 悟   ( 2023 / 10 )