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【その他の申告調整】


〔1〕 主な調整事項

専用の別表を用いないで直接別表4及び別表5(1)で申告調整する事項も多数あります。限度超過額等の調整には、限度額の計算明細(別表)が必要ですが、計算行為そのものが否認される場合には直接調整すれば事足りるからです。

●引当金等の戻入れ … 貸倒引当金、賞与引当金等は毎期洗替えの処理が必要です。前期に繰り入れた引当金に限度超過額があり申告調整で加算している場合は、限度超過額を当期に繰越しています。戻入れの処理によって、法人の経理上は当期の収益になりますから、未調整のままでは前期と当期に二重に所得計上することになります。

●修繕費のうち、資本的支出と判断される額が含まれる場合 … 余分に減価償却したものとみなしますが、調整方法はやや複雑です。

資産の取得価額に加算すべき額(資本的支出に相当する額)

減価償却限度額

減価償却超過額

全額が否認されるのではなく、取得価額に加算された場合の減価償却限度額を差し引いた額が否認されます。

●貸倒損失が税法上の要件を満たさない場合

●過大役員報酬

●受贈益等が含まれる場合

時価に較べ著しく高額で取得した固定資産

 

時価との差額は、子会社等から取得している場合は寄附金、役員等から取得している場合は役員への賞与になります。

時価に較べ著しく低額で取得した固定資産

 

時価との差額は受贈益とみなされます。また、減価償却資産に該当する場合は受贈益相当額を減価償却したものとみなします。

受贈益の計上もれ

 

無償又は著しい低額で資産を取得或いは役務の提供を受けている場合は時価との差額が、債務を免除された場合は債務相当額が受贈益になります。

〔2〕 K社の事例

前期に繰り入れた貸倒引当金には、 294,000円の限度超過額があり当期に繰越しています。当期の決算に当たり前期の繰入額は戻入れの処理をしました。

〔3〕 申告調整

これで仮計までの調整が終わりましたから、今まで調整してきた項目も含めて計算しておきましょう。

〔 別表4 〕

区         分

総    額

留    保

社 外 流 出

当期利益又は当期欠損の額

               49,155,989

             26,155,989  

配 当

112323,000,000

その他

1

損金経理法人税等

損金経理住民税

損金経理納税充当金

減価償却超過額

7,877,300

504,100

13,300,000

57

7,877,300

504,100

 13,300,000

57

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交際費の損金不算入額

交通反則金

貸倒引当金

550,697

50,000

 171,245

171,245

その他

その他

550,697

50,000

     小       計

22,453,399

21,852,702

 

600,697

 

 

減価償却超過額の当期認容

充当金から支出した事業税額

20,998

3,291,300

20,998

3,291,300

 

 

1

 

受取配当金の益金不算入額

613,600

 

613,600

納税充当金戻入れ認容

貸倒引当金認容

58,700

294,000

58,700

294,000

 

 

     小       計

4,278,598

3,664,998

613,600

      仮           計

67,330,790

44,343,693

 

 

△     613,600

 23,600,697

 

 

 

 

 

    所得金額又は欠損金額

 

 

 

 

仮計欄の検算 ⇒

67,330,790 = 44,343,693 + 23,600,697 - 613,600

〔 別表5(1) 〕

区               分

期 首 現 在

利益積立金額

当 期 の 増 減

翌期首現在

利益積立金額

利益準備金

新規事業積立金

別途積立金

減価償却超過額

貸倒引当金

 4,800,000

     42,500,000

    23,000,000

 65,823

294,000

 

 

20,998

294,000

1,100,000

12,000,000

12,000,000

57

171,245

5,900,000

54,500,000

35,000,000

 44,882

171,245

繰越損益金

納税充当金

2,745,872

       16,000,000

          2,745,872

16,000,000

 3,801,861

 13,300,000

3,801,861

13,300,000

 

 

未納法人税等

 

未納道府県民税

未納市町村民税

△   10,652,000

△    582,400

△   1,415,600

△    18,529,300

△         665,400

 △      1,836,700

中間

△    7,877,300

 

確定

 

中間

△        83,000

確定

 

中間

△      421,100

確定

 

 差 引 合 計

76,755,695

△      1,970,530

 

 

仮計以降の申告調整に留保項目はありません。別表5(1)の処理で残っているのは、△(当期確定税額) 部分だけです。


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