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【還付金の受入れ】


〔1〕 調整の基本

1.法人税・住民税の還付金の受入れ

●法人税・住民税の本税等は損金不算入です。損金不算入の税金が還付された場合は、逆に益金不算入になります。

前期に還付請求額の発生額を別表5(1)で「未収還付法人税等(マイナスの確定申告額)」の項目で処理していますが、還付金の受入れによってこれが消滅します。

●還付請求相当額を仮払金(未収金)で処理している場合は、還付金の受入れによって仮払金(未収金)が消滅します。

経理内容によって、次の処理が必要です。

■収益に計上した場合

   別表4

減算(留保) 「18」欄(法人税等の中間納付額及び過誤納に係る還付金額)

   別表5(1)

当期減少   「未収還付法人税等」

■仮払金(未収金)を消却している場合

   別表4

①加算(留保) 「仮払法人税等(未収計上した還付法人税等)消却」

②減算(留保) 「18」欄(法人税等の中間納付額及び過誤納に係る還付金額)

   別表5(1)

①当期減少    「△仮払法人税等(未収計上還付法人税等)」

②当期減少    「未収還付法人税等」

2.事業税の還付金の受入れ

●事業税は損金算入税ですから、これが還付された場合は益金に算入されます。従って、当期の収益に計上している場合は申告調整は不要です。

●還付請求相当額を仮払金(未収金)で処理している場合は、還付金の受入れによって仮払金(未収金)が消滅しますから、次の処理が必要です。

   別表4

加算(留保) 「仮払事業税(未収計上した還付事業税)消却」

   別表5(1)

当期減少     「△仮払事業税(未収計上還付事業税)」

●地方法人特別税は事業税に準じて処理します。

3.所得税の還付金の受入れ

●当期の収益に計上している場合は、所得減算の調整をします。

   別表4

減算(※)  「18」欄(所得税額及び欠損金の繰戻しによる還付金額等)

●前期に未収計上していた場合は、未収金の消却の処理も必要です。

   別表4

 

①加算(留保) 「未収計上還付所得税消却」

②減算(※)   「18」欄(同上)

   別表5(1)

①当期減少   「△未収計上還付所得税」

〔補足〕

 還付加算金など

利息相当分は益金算入ですから、雑収入などで処理していれば調整しません。

加算税、延滞税相当部分の還付金の受入れがあり雑収入等に計上している場合は、所得税還付金と同様に処理します。

 別表5(2)

法人税・住民税・事業税はそれぞれの欄に△の金額を記載します。所得税の還付金、還付加算金(税)は「その他」「損金不算入」欄に△の金額を記載します。下の記載例を参照してください。

〔2〕 関連別表の記載方法

〔事例〕

前期の確定申告で、以下の通り還付請求をしました。

法人税等

500,000

 

 

道府県民税(法人税割)

55,000

均等割の要納付額

10,000

市町村民税(法人税割)

127,000

均等割の要納付額

25,000

     計

682,000

     

 35,000

事業税・特別法人事業税 

  150,000

 

 

1.前期に還付請求の経理処理をせず、当期に収益計上した場合

   均等割の納付時    ⇒

租税公課

  35,000

現金預金

  35,000

   還付金の受入れ時 ⇒

 

現金預金

 

 

847,000

 

法人税等還付金

事業税等還付金

還付加算金(延滞税相当額)

682,000

150,000

  15,000

〔 別表5(2) 〕

税目及び事業年度

期首現在

未納税額

当期発生

税      額

当  期  中  の  納  付  税  額

期末現在

未納税額

充当金取崩に

よ る 納 付

仮払経理に

よ る 納 付

損金経理に

よ る 納 付

法人税

(前 期 分)

 △500,000

 

 

 

500,000

0

 中    間

 

 

 

 

 

 

 確    定

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

道府県民税

(前 期 分)

 △ 45,000

 

 

 

55,000

10,000

0

 中    間

 

 

 

 

 

 

 確    定

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

市町村民税

(前 期 分)

 △102,000

 

 

 

△ 127,000

25,000

0

 中    間

 

 

 

 

 

 

 確    定

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

事業税

 :       

 

 

 

 

 

 

 (前 期 分)

 

△150,000

 

 

△150,000

0

    当 期 中 間 分

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

延  滞  税

過  怠  税

       :

還付所得税

 

 

△15,000

 

 

 

*****

 

 

 

△15,000

 

 

 

*****

0

 

 

 

〔補足〕所得税の還付を受入れている場合も、同様に処理します。

〔 別表4 〕

区         分

       総    額

留    保

社 外 流 出

当期利益又は当期欠損の額

           1   1

1

配 当

1

その他

1

加算

損金経理法人税等

損金経理住民税

1

 35,000

35,000

1111

1

減算

法人税中間納付額等の還付金

18

     682,000

        682,000

1

11

所得税額及び欠損金の繰戻しによる還付金額等

19

15,000

1 

15,000

〔 別表5(1) 〕

区      分

期  首  現  在

利益積立金額

当   期    の   増   減

翌 期 首 現 在

利益積立金額

利益準備金

未収還付法人税等

682,000

 682,000

1

1

納税充当金

1

1

1

1

未納法人税等

未納道府県民税

未納市町村

△                         

               10,000

△               25,000

△                         

               10,000

△               25,000

 差引合計額

1

1

1

1

2.前期に還付請求額を仮払金とし、当期に消却した場合

   均等割の納付時     ⇒

租税公課

  35,000

現金預金

  35,000

   還付金の受入れ時 ⇒

 

現金預金

 

832,000

 

仮払法人税等

仮払事業税(*)

682,000

150,000

  (*) 損金算入税ですから、前期の申告調整で所得減算の調整をしています( 租税公課と申告調整 参照 )。

〔 別表5(2) 〕

税目及び事業年度

期首現在

未納税額

当期発生

税      額

当  期  中  の  納  付  税  額

期末現在

未納税額

充当金取崩に

よ る 納 付

仮払経理に

よ る 納 付

損金経理に

よ る 納 付

法人税

(前 期 分)

 △500,000

 

 

500,000

 

0

 中    間

 

 

 

 

 

 

 確    定

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

道府県民税

(前 期 分)

 △ 45,000

 

 

55,000

10,000

0

 中    間

 

 

 

 

 

 

 確    定

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

市町村民税

(前 期 分)

 △102,000

 

 

△ 127,000

25,000

0

 中    間

 

 

 

 

 

 

 確    定

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

事業税

 :       

 

 

 

 

 

 

 (前 期 分)

 

△150,000

 

△150,000

 

0

    当 期 中 間 分

 

 

 

 

 

 

     計

 

 

 

 

 

 

〔 別表4 〕

区         分

総    額

留    保

社 外 流 出

当期利益又は当期欠損の額

              1

1               

配 当

11

その他

11

加算

損金経理法人税等

損金経理住民税

仮払法人税等消却

仮払事業税等消却 (*)

 

10000

35,000

682,000

150,000

10000

35,000

 682,000

150,000

 

 

減算

法人税中間納付額等の還付金額

18

       682,000

      682,000

1

1

(*) 事業税の還付金は当期の益金になっていませんから、ここで加算します。

〔 別表5(1) 〕

区        分

期 首 現 在

利益積立金額

当 期 の 増 減

翌期首現在

利益積立金額

利益準備金

仮払法人税等

仮払事業税等

未収還付法人税等

繰越損益金

 

 

△   682,000

△   150,000

682,000

 

 

 

682,000

 150,000

682,000

 

 

 

 

 

納税充当金

1      

    1     

   90,000 

90,000

未納法人税等

未納道府県民税

未納市町村民税

     10,000 

△       10,000

△       25,000

    10,000 

△     10,000

△     25,000

△ 

△ 

△  

 差 引 合 計 額

1

1

1

1

〔補足〕

住民税の均等割額を納付せず、差引金額の還付を受けた場合も同様に処理します。還付と同時に均等割額が納付されたことになるからです。

 


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