年末調整の最後の作業が過不足税額の精算です。毎月の給与等の支払時に徴収した税額と年税額とを比べ、徴収税額が多い場合は還付、少ない場合は追加徴収します。
還付額の精算
12月(納期特例の適用事業所では下期)の徴収税額が還付額より多い場合 |
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12月の給与支給額から徴収すべき所得税額から、12月に賞与を支給している場合は賞与支給額から徴収した所得税額との合計額から超過税額を還付し、残額を12月分の源泉徴収税額として1月に納付します。
納期特例の適用を受けている場合は、下期(7月~12月)の徴収税額から超過税額を還付し、残額を下期分の源泉徴収税額として1月に納付します。 |
12月の徴収税額が還付額より少ない場合 |
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● |
原則的な精算方法
まず12月支給額から徴収する税額分だけを還付します。還付不足分は、その後に支給する給与・賞与の支払時に徴収する所得税額と相殺していき、還付が完了するまで順次繰り越していきます。
納期特例の適用を受けている場合は、半年分の「預り金」がありますから、一度に還付しきれるはずです(事業開始が11月、12月等で還付しきれない場合は、順次繰り越していきます)。 |
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Aさんの例 (
還付総額=61,300円 )
月 |
徴収すべき税額 |
還
付 額 |
差引徴収税額 |
還付不足額 |
12 |
28,670 |
28,670 |
0 |
32,630 |
1 |
27,710 |
27,710 |
0 |
4,920 |
2 |
29,630 |
4,920 |
24,710 |
0 |
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● |
還付税額が多額の場合
精算の終了が3月以降になると見込まれる場合は、所轄の税務署に還付請求することができます。この場合給与の支払者に一括還付した後に支払者を通して還付するか、従業員各人に直接還付するか、いずれかの方法で還付されます。還付請求には次の書類が必要です。 |
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■ |
残存過納額明細書(各人ごとの過納額の明細書) |
■ |
所得税源泉徴収簿の写し |
■ |
過納額の請求及び受領に関する委任状(連記式) |
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不足額の追徴
不足額は12月の給与等の支給時に徴収し、なお不足分が残る場合は1月分の支給額から徴収します。
追徴額が多く税引後の手取額が、その年の平均手取額の70%未満となる場合は、2月分の給与支給時まで繰り延べることができますが、この場合は所轄税務署長に「年末調整による不足額徴収繰延申請書」を提出し、承認を受けなければなりません。
未払い給与がある場合の過不足精算
未払給与がある場合でも、年末調整はこれを含めて行ないます。
●実際に徴収した税額が年税額を上回る場合 |
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【例】 |
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・給与等の支払額
5,250,000
・うち未払額
200,000 |
徴収すべき税額
286,500
実際の徴収税額
266,500 ( 未徴収税額 20,000) |
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・年末調整によって確定した年税額
・年末調整によって確定した還付額 |
250,000
36,500 |
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この場合は実際の徴収額が年税額を上回りますから、未払給与の支払時に差額の
16,500円 (36,500 - 20,000 )を還付します。 |
●実際に徴収した税額が年税額を下回る場合 |
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【例】 |
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・給与等の支払額
5,250,000
・うち未払額
200,000 |
徴収すべき税額
286,500
実際の徴収税額
266,500 ( 未徴収税額 20,000) |
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・年末調整によって確定した年税額
・年末調整によって確定した還付額 |
280,000
6,500 |
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この場合は実際の徴収額が年税額を下回りますから、未払給与の支払時に差額の
13,500円 (20,000 - 6,500 )を徴収します。
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