■
減価償却とは
建物や自動車、機械・設備等は、通常かなり高額でしかも長年に亘って使用可能です。そのようなものを購入した場合、購入費用は経費になるでしょうか? それとも、資産になるでしょうか? 250万円の自動車を購入した場合で考えてみましょう。
●
資産に計上する場合 |
購入時は
車両
250 現金・預金 250
の経理処理をします。
以後、この自動車を所有している期間は貸借対照表(資産・負債・資本の一覧表)に「車両 250」を記載することになります。
何年か使用した後に廃車したとすると、廃車時は
廃棄損 250 車両 250
となり、廃車した年の損益計算でやっと経費(損益計算では通常の経費も廃棄損も収入からマイナスする項目です)になります。 |
●
経費に計上する場合 |
購入時は
車両購入費
250 現金・預金 250
の経理処理をします。
以後は何年使用しても、以後の年度の損益計算に関係しません。 |
どちらの場合も、長年に亘って使用可能なものが、一時の経費になってしまいます。長年に亘って使用可能なのですから、使用する(使用可能な)期間に亘って徐々に経費にしていき、使用期間の最終年度には全額が経費になるように処理するのが妥当なようです。
●
徐々に経費していくには
取得(購入)時には一旦「資産」に計上します。資産ですが、使用することによって価値が下がっていきます。この目減り分を経費=費用にしていけば、使用期間に亘って費用配分することができ、資産としての(評価)額も徐々に下がっていきます。中古車といっても、新車に近いものと廃車寸前では評価額に大きな開きがあるように、一般常識にも合致します。
取得時 |
資産価値 |
1年経過 |
資産価値 |
費用 |
2年経過 |
資産価値 |
費用 |
|
3年経過 |
資産価値 |
費用 |
|
|
: |
資産価値 |
費用 |
|
費用=減価償却費 |
: |
|
|
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|
|
: |
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|
|
|
|
毎年の経理処理で一定額を費用にしていくことを減価償却(償却する)といい、この費用を減価償却費といいます。減価償却の意味を簡単に説明するのは難しいのですが、一言でいえば
「資産の費用化」 です。
取得費(お金)は取得時に出て行きます。収支計算では、取得年は資金不足になり借り入れが必要になるかもしれません。しかし、その後の何年間かは出費なしで使い続けることができます。出費はありませんが、減価償却によって一定額を経費にすることができ、その分利益を少なくすることができます。つまり、減価償却によって資金(取得費)の回収をします。
取得年に全額費用にする場合と減価償却によって費用にする場合を比べると、減価償却の概要が理解できると思います。
●
取得年に全額費用にする場合 |
|
●
減価償却によって費用にする場合 |
|
|
次々年度 |
収 入 |
通常の費用 |
減
価
償却費 |
利益 |
|
■
減価償却と税法
会社であれ個人事業であれ、資産価値の目減り分=減価償却費の額は「適正な方法で計算」するのが会計の原則です。しかし、現実には税法で細部まで規定されているので、ほぼ100%の事業者がこれに従っています。
● |
会社の場合 |
税務申告の際に、法人税法の規定に従って計算した減価償却費の額より多く償却している場合は、所得金額(税務上の利益)の調整が必要です。 |
● |
個人事業の場合 |
所得税法の規定に従って計算した減価償却費が必要経費となります(強制償却)。 その年分の減価償却費を計上しなかった、又は少なく計上した場合は、その後の年で不足分を減価償却費に加算して計上することはできません。 |
税法では、次の要件に当てはまるものを減価償却資産とします。
● |
(取得価額+諸費用)が10万円以上のもの |
● |
1年以上使用可能なもの |
● |
使用することによって価値が下がるのもの |
10年・20年と長期間使用できるものであっても、10万円未満の物は取得した年の費用にすることができます。費用にせずに、減価償却資産にしても良いのですが、通常は費用にします。
また、形があるものだけが減価償却資産(有形固定資産)ではありません。特許権・商標権、コンピュータのソフトウェアーのように形のない物も、上の要件に当てはまれば減価償却資産(無形固定資産)になります。
■
取得価額
購入代金の他に、引取運賃・保険料・手数料・関税などの費用が必要な場合、機械・装置等で設置費用が必要な場合は、それらの取得のために必要な費用はその減価償却資産の取得価額に含めます。ただし、自動車取得税、不動産取得税・登録免許税等は、取得価額に含めないで別個に費用として処理することができます。
(取得価額+諸費用)が10万円以上
…
の規定ですが、税込経理の場合は税込額で、税抜経理の場合は税抜額で判定します。
なお、中古資産を取得した場合の取得価額については、 耐用年数と償却方法・償却率など を参照してください。
■
減価償却資産の種類と耐用年数
何年間使用可能か
…
これは一概に言えません。例えば全く同じパソコンであっても、使用頻度(営業中は使いっぱなしの事業所もあれば、週に数時間しか使用しない事業所もあるかも知れません)、製品のバラツキによってまちまちです。
耐用年数は、本来は事業者が適正に見積もるべきものですが、税法では法令で決めています。これを「法定耐用年数」といい、種類・構造又は用途・細目ごとの一覧表になっています。
種類は
建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機、工具、器具・備品、車両運搬具、生物、機械装置、無形固定資産
などに分類されていますので、まずはこの区分に従い、構造又は用途
⇒ 細目
の順に該当する耐用年数を探し出すことになります。
建物などに行った内外装・改修などを
「造作」の科目で処理する例がありますが、「造作」では(法定)耐用年数は判定できません。「造作」の内容に従って「建物」に該当するか「建物附属設備」に該当するかを判断してから、耐用年数表に当てはめる必要があります。
■
残存価額
減価償却を続けて行くと最後には資産価値=「0」になるはずですが、平成19年度の税制改正前までは、「残存価額」の規定がありました。
取得時 |
資産価値 |
1年目 |
資産価値 |
減価償却費 |
2年目 |
資産価値 |
減価償却費 |
|
3年目 |
資産価値 |
減価償却費 |
|
|
: |
資産価値 |
減価償却費 |
|
|
: |
|
|
|
|
|
: |
残存価額 |
|
|
|
|
|
残存価額はいわゆるスクラップ価格なのですが
●有形資産については取得価額の10%と定めていました(但し、5%になるまで償却できる)。
●無形固定資産は残存価額=0
平成19年度の税制改正で、有形資産の残存価額は廃止され、取得価額の全額を減価償却することができるようになりました(ただし、廃棄・売却などしない限りは、1円の備忘価額を残す)。
■
償却方法
減価償却費の計算は定額法又は定率法によって行います(その他特殊な方法もありますが、稀)。税法では資産の種類によって、償却方法を定めています。
●無形固定資産
… 定額法
●建物
…
平成10年以降に取得したものは、定額法しか採用できません。
●その他
… 定額法、又は定率法
平成19年度の税制改正前
までは、次のように計算しました。
取得価額100万円、耐用年数10年の有形固定資産の場合 |
定額法 |
毎年同じ額だけ減価償却します。 |
(取得価額100万円-残存価額10万円)
× 0.1=
9万円 |
定率法 |
毎年同じ率で減価償却します。償却額は初め大きく、徐々に小さくなって行きます。 |
期首帳簿価額×償却率=減価償却費
〔年度〕 |
〔償却費〕 |
〔帳簿価額〕 |
1年目 |
1,000,000
× 0.206= 206,000 |
794,000 |
|
2年目 |
794,000
× 0.206= 163,564 |
630,436 |
|
3年目 |
630,436
× 0.206= 129,869
|
500,567 |
|
4年目 |
500,567
× 0.206= 103,116
|
397,451 |
|
: |
|
|
|
10年目には帳簿価額が10%になる率が
0.206 です。 |
|
定額法・定率法とも初年度で丸々1年間使用していない場合は、月数按分します(営業権は按分不要)。
初年度償却額×使用月数(端数切上げ)/12 |
法定耐用年数の最終年には、帳簿価額(残存価額)が取得価額の10%になります(端数処理で若干の誤差が生じます)が、継続使用していく場合は更に5%まで減価償却できます。上の定率法の例でいえば
12年目 |
帳簿価額
… 62,786 |
13年目 |
62,786
× 0.206=
12,933 ですが、62,786-12,933=49,853
になるので 62,786-50,000=12,786が13年目の減価償却費で、これ以上は減価償却できません。 |
平成19年度の税制改正
で、償却方法が大きく変わりました。
取得価額100万円、耐用年数10年の有形固定資産の場合 |
定額法 |
毎年同じ額だけ減価償却します。 |
(取得価額100万円)× 0.1
=10万円(
但し最終年度では1円を残すため 99,999円 ) |
定率法 |
毎年同じ率で減価償却しますが、普通に計算した償却額が、期首帳簿価額
÷ 償却残年数(均等償却額)未満になる年度以後は定額法に切り替えて償却します。
何時切替えるか、切替えた後の償却率はいくらになるか
⇒
個々に判定するのは煩雑なので耐用年数に応じた一覧表になっています。
定額法の償却率の2.5倍を償却率とするため250%定率法といいます。
|
償却率=0.250
償却保証率=0.04448 、償却保証額=
1,000,000
× 0.04448 = 44,480円
期首帳簿価額
× 償却率=減価償却費
〔年度〕 |
〔償却費〕 |
〔帳簿価額〕 |
1年目 |
1,000,000
× 0.250=
250,000 |
750,000 |
|
2年目 |
750,000
× 0.250=
187,500 |
562,500 |
|
: |
|
|
|
7年目 |
177,980
× 0.250=
44,495 |
133,485 |
改定取得価額 |
8年目 |
133,485
× 0.250=
33,371 33,371が償却保証額未満となるので 133,485
× 0.334=44,583 を償却額とする |
88,902 |
耐用年数10年の場合の
改定償却率 は0.334 |
9年目
|
133,485
× 0.334=44,583 |
44,319 |
|
10年目 |
133,485
× 0.334=44,583
44,583>44,319-1
となるので
44,318 を償却額とする |
1 |
|
|
改正後の償却方法は、平成19年4月以後に取得した資産から適用されます。
平成19年改正で全額を償却することになったのに伴い、平成19年3月までに取得したものは5%残存価額になるまでは従来通りに償却を進め、その後の事業年度では5%残額を5年間で均等償却
します
(1/5ずつ償却しますが、最終年は1/5-1円
) 。
なお、償却額に
1円未満の端数がある場合、端数処理
(切上げ・切捨て・四捨五入) は任意です。
償却額の計算をしたい方は
⇒ お金の計算(財務) (提供:CASIO
)
平成24年度の税制改正
で、定率法の償却率が
「定額法の償却率 × 2.5 」 ⇒「定額法の償却率 ×
2.0」 になりました。
● |
平成24年4月1日以後に取得した資産に適用されます。 |
● |
経過措置
|
法人 |
平成24年3月31日までに開始した事業年度では、平成24年4月1日以後に取得した資産も250%定率法を適用できる。 |
個人 |
平成24年12月31日までに取得した資産は、250%定率法を適用できる。 |
● |
平成19年4月1日以後に取得した資産で250%定率法を適用している資産について、200%定率法に変更する届けを所轄の税務署に提出すれば、平成19年4月1日以後に取得した全資産を200%定率法で償却計算することができます(資産ごとの選択はできません)。
|
取得価額100万円、耐用年数10年の有形固定資産の場合 (
定額法の償却率 1.0 ) |
定率法 |
償却の仕組みは250%定率法と同じです |
償却率=0.200
償却保証率=0.06552 、償却保証額=1,000,000
× 0.06552=65,520円
期首帳簿価額
× 償却率=減価償却費
〔年度〕 |
〔償却費〕 |
〔帳簿価額〕 |
1年目 |
1,000,000
× 0.200= 200,000 |
800,000 |
|
2年目 |
800,000
× 0.200= 160,000 |
640,000 |
|
: |
|
|
|
6年目 |
327,680
× 0.200= 65,536 |
262,144 |
改定取得価額 |
7年目 |
262,144
× 0.200= 52,428 52,428が償却保証額未満となるので 262,144
× 0.250=65,536 を償却額とする |
196,608 |
耐用年数10年の場合の
改定償却率
は 0.250 |
8年目
|
262,144
× 0.250=65,536 |
131,072 |
|
9年目
|
262,144
× 0.250=65,536 |
65,536 |
|
10年目 |
262,144
× 0.250=65,536
65,536-65,536=0
となるので
65,535 を償却額とする |
1 |
|
|
定額法と定率法の違いは、償却計算の基礎となる額です。
●定額法
⇒ 取得価額×償却率 ( 取得年度で、 期中取得の場合は月数按分します )
●定率法
⇒ 期首帳簿価額×償却率 ( 取得年度の償却額は
取得価額×償却率
… 期中取得では月数按分します
)
定額法で償却額を計算する場合、償却の最終年以外は期首帳簿価額は無関係です。
定額法・定率法とも新旧がありますが、単に定額法・旧定率法と言う場合は新定額法・新定率法です。ややこしいので一覧表にしておきます。
|
平成19年3月31日までに取得した資産 |
平成19年4月1日以後に取得した資産 |
定額法 |
旧定額法 |
旧残存価額(取得価額の5%)は、その後の年度で5年間の均等償却をする。 |
定額法 |
|
備忘価額の1円を残し、全額を償却します。
|
定率法 |
旧定率法 |
定率法 |
平成19年4月1日以後取得分
⇒ 償却率は定額法の償却率の250%
|
平成24年4月1日以後取得分
⇒ 償却率は定額法の償却率の200%
|
■
償却方法の届け
償却方法は所轄の税務署に届出をした方法に従います。
|
法 人 |
個 人 |
届 け |
「減価償却資産の償却方法の届出書」を確定申告書の提出期限までに提出する |
「所得税の(たな卸し資産の評価法)減価償却資産の償却方法の届出書」を確定申告期限までに提出する |
変更の場合 |
「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を
新たに償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに提出する |
「所得税の(たな卸し資産の評価法)減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を変更しようとする年の3月15日までに提出する |
無届の場合 |
建物は定額法、その他は定率法 |
全て定額法 |
■
耐用年数と法定償却率の関係
●定額法の償却率 |
1
÷ 耐用年数です。
耐用年数が2年、4年、5年、10年等の場合は割切れますが、例えば3年の場合は
0.3333…
で割切れません。仕方がないので小数点第4位以下を切上げて3年の場合は
0.334
としています。割切れない場合は少数点以下3位までとしていますので、割切れる場合もこれに揃えて、例えば4年の場合は
0.250 です。
平成19年度の税制改正前までは、割切れない場合の償却率は耐用年数20年以下は切捨て、21年以上は切上げていましたが、全て切上げに変更されています。 |
●旧定率法の償却率 |
毎年期首残額に一定の率を掛けて償却額を算出し、期末残額=期首残額-償却額 を繰り返すと耐用年数の最終年度末に期末残額が残存価額になるように計算した率です。 償却率 = 1
- 耐用年数√ √の中は(残存価格 /
取得原価) |
●定率法の償却率 |
平成19年4月1日以後に取得した資産 |
1
÷ 耐用年数 × 2.5 |
小数点第4位以下を四捨五入しています。 |
平成24年4月1日以後に取得した資産 |
1
÷ 耐用年数 × 2.0 |
償却率を個々に計算するのは大変なので、一覧表を使用します。また、税務での計算(個人の決算書、法人の申告書)では法定の償却率を使用します。
■
個別償却と総合償却
製造業等で使用する装置(生産ライン等)は、個々の機械を組み合わせたもので、減価償却額も装置全体を1単位として計算します。個々の資産を1単位として償却する場合を個別償却、装置全体を1単位として償却する場合を総合償却といいます。総合償却でも耐用年数は法定されていて、それぞれの機械・装置は耐用年数表に記載さています。
〔耐用年数表〕
別表第一 |
機械及び措置以外の有形減価償却資産の耐用年数表 |
種類
⇒
建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品 |
別表第二 |
機械及び措置の耐用年数表 |
番 号 |
設 備 の 種 類 |
細 目 |
耐用年数 |
1 |
食肉又は食鳥処理加工設備 |
略 |
9 |
2 |
鶏卵処理加工又はマヨネーズ製造設備 |
〃 |
8 |
3 |
市乳処理設備及び発酵乳、乳酸菌飲料その他の乳製品製造設備(集乳設備を含む) |
〃 |
9 |
: |
|
|
|
別表第三 |
無形減価償却資産の耐用年数表 |
|
: |
: |
|
総合償却でも償却額の計算方法は個別償却と同じですが、総合償却を行う場合は個々の機械・装置の帳簿価額が明らかでないので、除去等の場合はその処理が必要ですが、やや高度な話なので 耐用年数と償却方法・償却率など を参照してください。
■
一括償却資産
取得価額が10万円以上かつ20万円未満の減価償却資産は、一括(減価)償却資産として扱うことができます。
資産種類・耐用年数に関係なく、3年間で均等償却することができます。通常の減価償却資産として扱うか、一括償却資産として扱うかは任意です。
|
13年取得分 |
14年取得分 |
15年取得分 |
16年取得分 |
17年取得分 |
13年 |
1/3 |
|
|
|
|
14年 |
1/3 |
1/3 |
|
|
|
15年 |
1/3 |
1/3 |
1/3 |
|
|
16年 |
|
1/3 |
1/3 |
1/3 |
|
17年 |
|
|
1/3 |
1/3 |
1/3 |
取得年度の合計額で計算します。個々の資産の使用月数は関係ありません。また、100%
償却します。
なお、法人は
( 取得額の合計額 × 当期の月数 ÷ 36
)で計算しなければならないので、設立初年度等で当期が12ケ月未満の場合は、初年度は1/3
にならず、残額を4年目に償却することになります。個人ではこのような規定はなく
、 開業初年度でも月数に関わりなく1/3
ずつ償却することができます。
■
任意償却、均等償却
創業費や試験研究費、建物を賃借りするための権利金等支出の効果が長期間に及ぶものにつては、支出額の全額を支出年度の経費とはせずに、効果の及ぶ期間に分配して経費とします。税法では、これらを「繰延資産」といいますが、会計上は長期の「前払費用」に該当します。 効果の及ぶ期間に分配して経費とする処理を、他に適当な用語がないため、一般に「償却」と言いますが、通常の固定(償却)資産とは違って定額法や定率法では償却しません。 税法では 創業費や試験研究費等、旧商法で規定していた繰延資産については、任意償却
( いくら償却するかは任意 ) その他の繰延資産は均等償却です。
均等償却額 =
繰延資産の価額 × 当期の月数 ÷ 償却期間の総月数 です。
■
個人事業者の自家使用 個人事業者が、仕事用にも個人の生活用にも使用する資産を購入した場合、(減価償却費
× 事業専用割合)で計算した額が必要経費になります。 〔事例〕
|
車輌購入代金 ¥2,450,000 自動車取得税等 ¥56,000 合計 ¥2,506,000 を ○○年1月10日に購入 |
|
事業専用割合=
70% (
使用時間・距離などで判断します ) |
|
耐用年数は6年、定額法の償却率は
0.167 |
|
1年目の償却費は 2,506,000
× 0.167
= 418,502 で、418,502
× 0.7 = 292,951 円が必要経費です。
個人事業者用の青色決算書(及び収支内訳書)には、次のように記載します。
名称 |
数量 |
取得
年月 |
取得価額 |
計算基礎額 |
償却
方法 |
耐用
年数 |
償却率 |
償却
期間 |
普通償却費 |
|
償却費合計 |
事業
割合 |
必要経費
算
入 額 |
未償却
残 高 |
車輌 |
1 |
○○・1 |
2,506,000 |
2,506,000 |
定額 |
6 |
0.167 |
12 |
418,502 |
|
418,502 |
70 |
292,951 |
2,087,498 |
: |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
未償却残高は 2,506,000
- 418,502 = 2,087,498 |
■
減価償却費の経理
|
資産の取得時 |
付随費用を含む取得価額を資産に計上します。自動車取得税は含めないこともできますが、原則はこれも含めて取得価額とします。
〔事例〕 車輌購入代金 ¥2,450,000 自動車取得税等 ¥56,000 合計 ¥2,506,000
|
車輌 |
2,506,000 |
現金・預金 |
2,506,000 |
|
|
償却費の計上 |
決算時には当期(本年)の償却額を計算して、償却費を計上します。当期(本年)の最初の月に購入した場合は、償却期間(月数)は12ですが、期中に購入した場合は 取得価額
× 償却率 × 償却期間の月数 ÷ 12 で償却額を按分計算します。
上記の車輌を ○○年4月10日に購入して、9ケ月(1ケ月未満は切上げます)使用
した場合は
2,506,000
× 0.167
× 9 ÷ 12 = 313,876 (端数処理は任意ですが、ここでは切捨て)
です。前年からの繰越資産で期末まで使用している場合は、償却期間(月数)は12ケ月ですから按分計算は不要です。
償却費の計上には直接法と間接法がありますが、小規模な事業者では直接法が一般的です。
直 接 法 |
間 接 法 |
期末残高は 2,506,000
- 313,876 = 2,192,124
|
|
減価償却費 |
313,876 |
減価償却累計額 |
313,876 |
期末残高は 2,506,000
のままですが、決算書に減価償却累計額を脚注表示して、間接的に実際の残高が判るようにします。
|
|
翌年以降の処理
(廃棄・売却はないものとします)
|
定額法で償却費を計算している場合は、償却の最終年度の前年までは同一額を償却します。
●2年目~6年目 |
減価償却費 |
418,502 |
車輌 |
418,502 |
6年経過時点の残高 2,506,000
- ( 313,876 + 418,502 × 5 )= 99,614 |
●7年目 |
減価償却費 |
99,613 |
車輌 |
99,613 |
定率法で償却費を計算している場合はやや複雑ですが、■
償却方法 で説明している方法で償却費を計算してから、各年の償却費を計上します。 |
■
固定資産の管理(台帳) 所有する固定資産が数件のうちは、メモ程度の記録でも償却額の計算に困ることはないでしょうが、数件が多くなると台帳を作成して管理する必要が生じてきます。
● |
固定資産は2年以上の期間に亘ってそれぞれの年度の償却額を計算しますから、毎年の償却額又は毎年度末の未償却残額を記録しておかないと、当期(本年)の償却額を正しく計算することができなくなります。
◆ |
定額法で償却費を計算する場合でも、期中に取得した資産では初年度と最終年度は均一額にはなりません。 |
◆ |
定率法で計算する場合、2年目以降の計算では償却保証額との比較が必要です。 |
◆ |
固定資産を売却した場合は、
売却額 - 帳簿残高
で売却損或いは売却益を計算します。廃棄の場合は、
廃棄費用 +
廃棄資産の帳簿残高 が廃棄損になります。いずれも、売却
・廃棄時点の帳簿残高が判らないと、算定できません。 |
◆ |
毎月の事業実績を算定(月次損益計算を)する場合、減価償却費については当期(本年)の償却額を月割にしておく必要があります。 |
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● |
償却資産税の対象となる資産については、資産の評価額(申告額)を旧定率法の償却率で計算します。 |
● |
法人税の申告書にあたっては、税法規定の償却限度額と異なる額を償却している場合は、調整が必要です。 |
等等
… 様々な理由で台帳の作成・管理が必要です。 最も簡単な台帳を例示
しておきましょう。
取得時に記録する事項 |
毎年の償却額の記録
( 償却額の端数は切上げ ) |
取得年月日
○.9.18
種類
器具・備品
用途・細目
印刷機
名称
PW38X
取得価額 ¥2,000,000
耐用年数 8年
償却方法 定率法(250%)
償却率 0.313
保証率(保証額) 0.05111(¥102,220)
改定償却率 0.344
事業割合(個人) -
償却資産税 対象
旧定率法の償却率 0.250 |
会計年度 |
期首帳簿価額 |
月数 |
償 却 額 |
期末帳簿価額 |
備 考 |
○.4.1~○.3.31 |
|
7 |
365,167 |
1,634,833 |
|
|
1,634,833 |
12 |
511,703 |
1,131,130 |
|
|
1,131,130 |
12 |
351,540 |
779,590 |
|
|
779,590
|
12 |
244,012 |
535,578 |
|
|
535,578 |
12 |
167,636 |
367,942 |
|
|
367,942 |
12 |
115,166 |
252,776 |
|
(当期) |
252,776 |
12 |
84,428 |
168,348 |
当期から定額法 |
: |
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|
: |
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|
: |
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改定取得価額は ¥252,776
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