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消費税のしくみと計算             

◆消費税とは

消費税は、物品購入やサービスを受けたとき、その対価に対して課税される税金です。売買時点で課税される税金ですから、「売上税」の方が実態に近い名称と思われますが、この税の負担者は(最終の)消費者であり、土地など消費されないものには課税されませんから、消費税の名称となっています。

事業者間の取引と、事業者が消費者に販売・サービス提供する場合に消費税が課税されます。個人間の私的な売買などには消費税は課税されません。

1989年(平成元年)3月までは宝石・毛皮・電化製品・化粧品・乗用車などに物品税が課税されていましたが、1989年(平成元年)4月1日に消費税が施行され物品税は廃止されました。当初3%の税率時は全額が国税でしたが、その後の5%増税時に「地方消費税(都道府県の税です)」が創設されました。2014年(平成26年)4月に8%に増税され、2015年(平成27年)10月には10%に増税される予定です。消費税と地方消費税は合算で課税され、日々の売買で区分されることはありません。

 

1989年4月1日〜

1997年4月1日〜

2014年4月1日〜

2015年10月1日〜(予定)

消費税

3%

4%

6.3%

7.8%

地方消費税

----

1%

1.7%

2.2%

◆消費税のしくみ

消費税は消費者が負担する税金ですが、消費税を納めるのは事業者です。

大量生産・大量消費の加工食品や日用品は、生産業者 ⇒ 卸売業者 ⇒ 小売業者 ⇒ 消費者の順に販売されるのが通常です。消費税はそれぞれの段階で、その都度課税され、最終的には消費者が負担者になります。生産者 ⇒ 小売業者 ⇒ 消費者であっても、生産者 ⇒ 消費者であっても同様です。

簡単な事例で見てみましょう。なお、税率は5%とします。

 

原材料製造業者

 

 

完成品製造業者

 卸売業者

小売業者

消費者

売 上 げ

消 費 税

1,000

50

1,500

75

1,700

85

2,000

100

2,100

仕 入 れ

消 費 税

 

 

1,000

50

1,500

75

1,700

85

消費税の差額

50

25

10

15

商品が生産業者から消費者に届くまでの間に消費税額は順に加算され、50+25+10+15 = 100  を消費者が負担することになります。

小売業者は商品代金(2,000)の外に消費税(100)を受け取りますから、一見小売業者が消費税を徴収しているように見えるかもしれませんが、小売業者に税を徴収する権限はありません。消費税だけでなく、全ての税の課税権限は、国・都道府県・市町村にしかありません。

小売業者が消費者から受け取る消費税は「預り金」です。本来の負担者は消費者で、小売業者は預かった消費税を消費者に代わって納付する義務を負います。小売業者は消費者から  100 預かっていますが、卸売業者に 85 支払っていますから、差額の 15 を納付し、同様に卸売業者も差額の 10 を納付する … 順に差額を納付することで、消費者の負担額の全額が納付されることになります。

◆課税取引、非課税取引、免税取引

消費税が課税されるかされないかは、法令で決められています。ほとんどの取引は課税されますが、課税されないものは幾つかの型に分けられます。

消費されないもの

土地など

消費とは言えないもの

給与、貸付利息、保険料

前売りチケット(料金の前払いで、お金の代わりです)

政策的に非課税としたもの

住宅家賃(営業用物件の家賃は課税)

消費税は対外取引で発生するものです。現金を預金口座に入金したとか、決算で減価償却費を計上したとかの場合は、消費税の対象外(範疇外)です。

一定要件を満たす輸出は免税取引です。本来は課税取引なのですが、課税が免除されています。

(参考)

切手を郵便局の窓口で買う場合、切手は非課税です。では、封書を送るという行為は非課税なのか ?

● 回答 ⇒ 切手の売買は非課税ですが、使用した時点で課税になります。

その他取引の課税・非課税・対象外の区分で困る場合は、意外と多いものです。

◆課税事業者、免税事業者

消費税の納税義務のある事業者を課税事業者、納税義務のない事業者を免税事業者といいます。

課税事業者になる・ならないの判定は前々期の売上高(収入金額)です。

売上高(収入金額)は、課税取引の税抜き額。非課税取引は含まない。

法人の場合、前々期が事業開始年度で12ケ月未満の場合は12ケ月に換算して判定します ( 個人では換算計算はしません )。

前々期の売上高(収入金額)が1千万円超の場合は課税事業者になります。

資本金(出資金)が1千万円以上の法人は、初年度から2年間は売上高(収入金額)に関わらず課税事業者になります。

免税事業者は、納税を免除されていると言う意味で、免税事業者の取引は非課税だと言う意味ではありません。ただし、免税事業者は消費税の申告・納税のために消費税額を計算する必要がないので、課税取引・非課税取引の区分は不要です。区分しても実益がありません。そのため、免税事業者の取引は全て「非課税」のように見えてしまい、新聞紙面に「売上高が1千万以下の場合は消費税がかからない」と記載されたりもします。

【補足】

平成25年1月1日以後開始する事業年度からは、前事業年度(個人では前年)の上半期の課税売上高が 1,000万円を超えると、その事業年度の納税義務が免除されないことになりました(平成23年6月30日公布 消費税法9条の2@)。

また、上半期の課税売上高に代えて同期間の給与等の金額により判定することもできますが、この給与等の金額には、実際に支払われた源泉徴収の対象となる給与等が含まれ、未払額は含まれません。

平成26年4月1日以後に設立される資本金1千万円未満の新規設立法人について、以下のいずれにも該当する場合は、設立1期目・2期目も納税義務が免除されないことになりました。

1.新規設立法人の株式等の50%超を、他の事業者(判定対象者)に保有されていること

2.他の事業者(判定対象者)の前々期の課税売上割合が5億円を超えていること

この判定は設立1期目・2期目ごとに行い、該当する場合は「特定新規設立法人に該当する旨の届け」を所轄税務署に提出する必要があります。

◆外税/内税

商品などの販売に際して、消費税額を含まない額を表示する場合を外税(方式)、消費税額を含んだ額を表示する場合を内税(方式)といいます。

事業者間の取引では、外税が一般的です。日々の取引では消費税額を含まない額を表示した納品書などを使用し、請求段階で別途消費税額を計算して、合計額を請求します。

小売業者などが消費者に販売する場合は

 ・2004年(平成16年)3月までは外税・内税の価格表示は任意

 ・2004年(平成16年)4月に内税表示=総額表示が義務化

 ・2014年(平成26年)4月の8%への増税に伴う措置として、外税表示も可

となっています。ただし、外税表示の場合は、税抜き価格であることを値札に明示するか、店内に「別途消費税を申し受ける」旨の表示が必要です。

総額表示の例

外税表示の例

 3,240円(税込)

 3,240円(税抜価格3,000円)

 3,240円(うち消費税額240円)

 3,000円(税抜)

 3,000円+税

 3,000円+240円(税)

外税表示の場合、消費税の額は一目瞭然ですが、内税表示で総額しか示されていない場合は次のような計算が必要です。

税込価格

税率が5%では

税率が8%では

    3,000円

3,000÷105×5=142.857 … 

端数処理は任意なので、142円又は143円

3,000÷108×8=222.222 … 

端数処理は任意なので、222円又は223円

スーパーなどで多くの買い物をする場合は、1品ごとに計算せず合計額で上と同じ計算をします。消費税は1取引(1回の買い物)単位で課税されるためです。

◆消費税の経理

消費税の経理方法には「税込経理」と「税抜経理」があり、(消費税法上では)課税事業者はどちらかを選択することができます。免税事業者の場合は、税込経理が義務付けられています。

税 抜 経 理

 

 

 

税 込 経 理

税抜きの本来の金額と消費税額を分けて記帳します。売上分の消費税は預り消費税(又は仮受消費税)、仕入や経費の支払い・固定資産の購入時にかかる消費税は仮払受消費税で処理します。

消費税の要納付額は(原則は)「預り消費税−仮払受消費税」ですから、事業年度の中途であっても、概算額は試算表などで判ります。

全ての取引を税込み額で記帳します。

実際に申告書を作成するか、申告書作成と同様の手順で計算しないと、消費税の申告・納付額は判りません。

 

預り消費税は負債、仮払受消費税は資産科目で、いずれも損益には関係ありません。預り消費税と仮払受消費税の差額が申告・納付額になりますが、実際には申告額の計算手順や端数処理で若干の差がでるので、この差額は雑益や雑損で処理します。

納付する消費税は経費(損金)とします。

 @ 事業年度末に未払計上する

 A 消費税の納付時に計上する

の2通りの方法が考えられますが、会計原則からいえば@にすべきでしょう。

申告額を計算する際には、課税取引額・免税取引額・非課税取引額を集計しなければなりません。従って、税抜経理でも税込経理でも、課税事業者であれば個々の取引が「課税取引」か「免税取引」か「非課税取引」かの区分も記帳しておく必要があります。

◆消費税の申告と納付

売上・サービスの提供に伴って発生する消費税は事業者の「預り分」になります。仕入・経費の支払、資産購入に伴って発生する消費税は事業者の「支払分」になります。原則として、「預り分」の消費税額から「支払分」の消費税額を差し引いた金額が、納めるべき消費税額になります。消費税納付額の計算は損益計算ではなく、差額の計算です。

 

消費税納付額の計算期間

要納付額(確定申告額)

申告・納付期限

個人事業者

前年1年間

1年間分の要納付額−中間申告額

3月末

法人事業者

前期1年間

事業年度終了日の翌日から2ケ月

「支払分」については「仮払消費税」、「預り分」については「預り消費税」又は「仮受消費税」と呼ぶのが一般的ですが、消費税の申告書では「預り分」を「消費税額」、「支払分」を「控除税額」といいます。

納税額の計算方法を、申告書の手順に従って説明すると

1.税率5%では

消 費 税 額

 消費税額 ( 預り額 )の計算 A

 (*) 課税売上高(税抜き額)×4%

 

 まず、国税分の4%分を計算します

 

 控除税額 (支払い額 )の計算 B

 (*) 課税仕入高(税込み額)×4÷105

 差引差額

          A−B

地方消費税額

 消費税額×25%

 (A−B)×25%

 国税分の25%相当額です

2.税率8%では

消 費 税 額

 消費税額 ( 預り額 )の計算 A

 (*) 課税売上高(税抜き額)×6.3%

 

 まず、国税分の6.3%分を計算します

 

 控除税額 (支払い額 )の計算 B

 (*) 課税仕入高(税込み額)×6.3÷108

 差引差額

          A−B

地方消費税額

 消費税額×17÷63

 (A−B)×17÷63

 

 (*)        部分の額は、税抜き経理で取引ごとに消費税額を区分して記帳している場合は、記帳額の合計額(積上げ額)とすることができます。

申告額の計算では、まず消費税(国税)の額を計算します。消費税(国税)の額に一定割合を掛けて地方消費税の額を算定します。日々の取引で消費税と地方消費税を区分することはありませんが、申告書作成の際はこの手順を踏みます。

以上は、課税売上割合が95%以上の場合です。

課税利上割合 = 

       課税取引分の売上高+免税取引の売上高          

  課税取引分の売上高+免税取引の売上高+非課税取引の売上高

この割合が95%以上の場合は、以上の通り「預り分」の消費税額から「支払分」の消費税額の全額を差引いて、その差額を納付すべき税額としますが、この割合が95%未満の場合は全額を差引くことはできません。差引くべき税額は、次の計算方法になります。

課税売上(免税利上を含みます)に要した部分の税額

この部分は全額を差引きます

非課税売上に要した部分の税額

差引くことはできません

課税売上と非課税売上に共通して要した部分の税額

課税利上割合を掛けた額を差引きます

この方法で計算するためには、仮払分の消費税について課税売上対応分・非課税売上対応分を区分しておかなければなりません。それは無理だ … という場合は、前々期の売上高が 5,000万円 以下であれば〔仮払分の消費税額×課税利上割合 〕 で計算することもできます。どちらで計算するかは任意ですから、より多く差引ける方を選択することができます。

事業者の「預り分」より「支払分」の消費税額が多い場合もあります。

  ● 多額の設備投資をした場合  ● 輸出は免税取引(預り分は0)ですから、輸出取引が大半の事業者の場合

このような場合は、差引くことができなかった額を還付請求することができます。

◆原則課税/簡易課税

消費税額の計算の「預り消費税」−「仮払消費税」のうち、 −「仮払消費税」 の部分を実際の金額で計算する場合を、原則課税といいます。

これに代えて、売上額(収益額)の 一定比率 で計算する場合を「簡易課税」と言います。当然ですが、この適用を受けるには条件があります。

● 前々期の売上高(収入金額)で判定し、必要な届けを提出します。

平成16年3月31日までに開始する年度

 2億円以下

平成16年4月1日以後開始する年度

  5,000万円以下

● 簡易課税では「仮払消費税」を一定比率としますから、実際には 預り消費税<仮払消費税 となっていても、還付請求できません。

一定比率 を「見なし仕入率」と言いますが、業種によって50%〜90%になっています(2015年以降は40%〜90%)。原則課税・簡易課税どちらが有利かで選択することができます。

◆消費税の納付

前年1年間分の納税額が一定額以上の場合

● 法人税・法人住民税は年2回 ⇒ 中間申告分、確定申告分

● 個人の所得税・住民税は年3回 ⇒ 第1期分、第2期分、確定申告分

の納付が必要ですが、消費税は前年分の納税額に応じて要納付回数が異なります。法人税・所得税に比べ滞納額が多いため、このような措置がとられています。

前年分の納税額

中間申告回数

備           考

4,800万円超

年11回

確定申告分が1回必要なため、毎月の納付になります

400万円超

年3回

確定申告分が1回必要なため、年4回の納付になります

48万円超

年1回

確定申告分が1回必要なため、年2回の納付になります

48万円以下

不要

法人は平成26年4月1日開始事業年度から、個人は平成27年分から任意の中間申告(年1回)が可能になります

◆いわゆる「益税」について

消費税の負担者は(最終)消費者で、消費者の負担額の全額が事業者によって納付されることになっていますが、現在の制度では本来収められるべき税額の一部が事業者の手許に残り、事業者の利益になっています。

課税事業者になる・ならないの判定は前々期の売上高(収入金額)です。個人事業者及び資本金(出資金)が1千万円未満の法人は当初の2年間は納税義務がありません。

前々期の売上高(収入金額)が1千万円以下であれば、その年は納税義務がありません。

前々期の売上高(収入金額)が5千万円以下であれば、簡易課税の選択が可能です。多くの場合、簡易課税の方が納税額を減額できます。

これは制度そのものから生じることなので、決して違法ではありません。

◆消費税の届出書

消費税には沢山の届出書があります。課税事業者になる場合、課税事業者でなくなる場合、簡易課税の適用を受ける場合、免税事業者でも課税事業者として扱って貰う場合 … 等々、事前に届が必要かよく調べておかないと大損をすることもあります。

 ■ 税務署へ提出する申請書・届出書   国税庁

 ■ 主な届出書一覧             税務・社会保険届出書等一覧  (消費税の項を参照してください)

 

製作・著作 (有)協進会     2014/03 

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