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 償却資産申告書の書き方


◆◆◆ はじめに ◆◆◆

 

平成21年度から、従来の「○○年1月1日現在の帳簿価額」による申告が、評価額による申告に変わります

固定資産税(償却資産税)は市町村民税です

事業者が所有する償却資産にかかる税金(固定資産税)は、市町村が徴収します。個々の事業者が事業用の償却資産をいくら所有しているか逐一調べることは現実には不可能ですから、事業者自らが市町村に申告することになっています。

申告するのは所有している償却資産の価格です ⇒ この申告は「償却資産」の申告であって「償却資産税」の申告ではありません(したがって申告書の名称は「償却資産申告書」です)。

固定資産税は個人・法人を問わず課税されますから、課税期間は暦年です。償却資産にかかる固定資産税は、その年の1月1日現在に所有している償却資産に課税されます。

市町村が徴収する税金ですから、複数の市町村に事業所を有する事業者は、事業所が所在する市町村ごとに申告しなければなりません。

A市

B市

C町

本社

A営業所

A配送センター

B営業所

B倉庫

C工場

A市へ申告

B市へ申告

C町へ申告

自動車税・軽自動車税が課税される車両は、申告の対象外です(蛇足ながら、建物も別個に課税されますから対象外です)。

市町村では、提出された申告書を基に事業者ごとの課税台帳を作成します。この台帳は毎年更新され、その年の固定資産税額が決定されます。

以下具体的な説明に進みますが、償却資産税は地方税ですから申告書の記載要綱等に若干の相違があるかも知れません。以下の説明と、申告書用紙に同封されてくる「手引」等に相違がある場合は、「手引」等の説明を優先させてください。


【1】

償却資産の範囲

ほぼ法人税法・所得税法の償却資産と同じですが、次のものについては個々に判断してください。

 (固定資産税の対象=○ 固定資産税の対象外=×)

区               分

判 定

備         考

取得価額が10万円未満のもの

×

取得価額が20万円以上のものでも耐用年数が1年未満のものは×(法人税でも償却資産になりませんから、当然です)

取得価額が10万円以上かつ20万円未満のもの

一括償却資産としたもの

×

個別償却したもの

中小企業者の少額(30万円未満)減価償却資産の即時償却の対象資産

 

償却済資産、建設仮勘定

事業の用に供されている場合

簿外資産

事業の用に供されており、本来は減価償却できるのも

遊休資産

使用可能なもの

修繕費等のうち「資本的支出」に該当するもの

 

賃貸の店舗・事務所などに施した、内外装工事費や電気・給排水・空調その他の設備

 

【2】

提出する申告書の種類

償却資産申告書には次の3つの様式があります。

第二十六号様式

償却資産申告書です

 

第二十六号様式別表一

償却資産申告書の付属明細書です

 

所有する全ての資産を記載する場合と、期中に増加した資産(だけ)記載する場合があります

第二十六号様式別表二

期中に減少した資産を記載します

【新設法人の場合】

前年(暦年)中に新設された法人の場合は、全ての資産を申告しなければなりません。申告書が提出されるまで、市町村にはその法人分の台帳がありませんから、新たに台帳を作成します。

新設法人の場合は①と②を提出しますが、②には所有する全ての資産を記載しなければなりません。

なお、過去に償却資産を所有していなかった法人が、新たに所有することになった場合も同様です。

【既存の法人の場合】

前年に償却資産申告書を提出している法人であれば、既に市町村には課税台帳が作成されていますから、この台帳を更新すればよく、全資産を申告する必要はありません。台帳の更新のために、前年中の増加分(新規取得)と減少分(廃棄・売却等)を申告します。

申告書①に、②・③を添付しますが、②に記載するのは増加分(新規取得分)だけです。

個人事業者の場合は、上の「法人」を「事業者」と読み替えてください。

補足:

償却資産申告書をコンピュータで作成している場合は、既存の法人であっても全資産を申告することとなっています(詳しくは市町村にお問い合わせください)。この場合は、新設法人と同様の作成方法になります。

【3】

評価額の計算

償却資産にかかる固定資産税は、その年の1月1日現在に所有している償却資産に課税されます。この申告書作成の中心は、「評価額」の計算です。「申告書の書き方」の説明の前に、「評価額」の計算方法を説明します。

法人税法の減価償却限度額の計算は(同一種類の)グループ計算も可能ですが、償却資産の申告は1品ごとに計算します。

評価額は、1月1日現在の期首価額です。

償却額の計算は ⇒ 期首価額×償却率×償却月数÷(事業年度の計算月数)ですが、評価額は⇒ 期首価額(前年の評価額)×減価残存率で計算します。両者の意味するところは同じですが、減価残存率が決められているので、端数処理方法等で若干の計算誤差が生じるかもしれません。

評価額の計算については、次の点に注意してください。

減価残存率

前年中の新規取得資産 ⇒ 1-旧定率法の償却率/2 (二分の一償却です)

前年前に取得した資産  ⇒ 1-旧定率法の償却率

圧縮記帳

認められません

特別償却・割増償却

認められません

最低価額

取得価額の5%相当額

前年中に取得した資産の場合

 取得価額=A 、旧定率法の償却率=B 

 評価額= A × ( 1- B / 2 ) … B/2 の少数点4位は切上げ

 

 

少数点4位は切上げ ⇒ 端数処理は四捨五入としている市町村が多いようですが、小数点3位の奇数を2で割れば小数点4位は全て「5」になり、結果は切上げになります。

前年より前に取得した資産の場合

 前期の評価額=M 、旧定率法の償却率=B

 評価額= M × ( 1- B ) 

上の方法で1品ごとに計算した結果を、次の種類ごとに集計します。

構築物

建物付属設備のうち構築物的要素のものを含みます

機械及び装置

建物付属設備のうち機械的要素のものを含みます

船舶

 

航空機

 

車両及び運搬具

自動車税、軽自動車税が課税されるものは対象外です

工具、器具及び備品

 

【4】

26号様式、26号様式別表1、26号様式別表2

それでは申告書の書き方に進みます。

26号様式実物はA4横サイズ

 

償却資産申告書(償却資産課税台帳)

所有者コード

 

 

 

 

 

住所

 

事業種目

(資本等の金額)

 

短縮耐用年数の承認

有・無

増加償却の届出

有・無

事業開始年月日

 

非課税該当資産

有・無

氏名

 

 

 

 

 

 (屋号          )

この申告に応答する者係及び氏名

 

課税標準の特例

有・無

特別償却又は圧縮記帳

有・無

税理士等の氏名

 

税務会計上の償却方法

定率法

定額法

青色申告

有・無

資産の種類

取    得    価    額

市(区)町村内における事業所等資産の所在地

①  

前年前に取得したもの(イ)

前年中に減少したもの(ロ)

前年中に取得したもの(ハ)

(イ)-(ロ)+(ハ)

1

構築物

 

前年の申告書の「計」欄の金額を転記します

 

 

26号様式別表2(減少資産)の金額と一致しなければなりません

26号様式別表1(増加資産)の金額と一致しなければなりません

 

2

機械装置

 

3

船 舶

 

4

航空機

 

借用資産

  (有・無)

貸主の名称等

 

5

車 両

 

6

器具備品

 

事業家屋の所有区分

           (自己所有・借家)

7

合 計

 

別表2の合計

別表1の合計

 

 

資産の種類

※評価額

※決定価格

※課税標準額

備考

この欄の記載要綱は市町村によって異なります

 

 

 

1

構築物

 

 

 

 

2

機械装置

 

 

 

 

3

船 舶

 

 

 

 

4

航空機

 

 

 

 

5

車 両

 

 

 

 

6

器具備品

 

 

 

 

7

合 計

 

 

 

「取得価額」の各欄 … 前年の申告書、別表1・別表2の金額と一致しなければなりません。

個人事業者の場合、所得税の青色決算書・白色内訳書の「減価償却費の計算」には「事業割合」の欄がありますが、償却資産税の場合はそれに類する項目はありません。事業用資産は、使用状況に関らず取得価額の全額を申告します ( 別表 1、2 も 同様 )。

「※」の付いた3項目は記載不要です(このページの 電算申告  を参照してください)。

「課税標準の特例」はこのページの 【補足】 を参照してください。

26号様式別表1実物はA4横サイズ

申告初年度は所有する償却資産を全品、それ以後は前年中の取得資産を記載して26号様式に添付します。

所有者コード

 

  種類別明細書(増加資産・全資産用)

所 有 者 名

 

枚のうち

枚   目

資 産

コード

 

資産の名称等

 

取得

年月

取得価額

耐用年数

増加事由

摘要

年号

01

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

02

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

04

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  (以下続きます)  

            ※マークの項目は記載不要です(価額、課税標準の特例、課税標準額など)

 

19

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小   計

 

申告書へ転記

 

 

 

 

 

資産の種類は26号様式の区分の番号を記載します。

資産の名称は20文字以内で記載します(カタカナの濁点は1文字とします)。

取得年月の年号は「平成…4、昭和…3、大正…2、明治…1」の番号を記載します。

取得価額 … 取得のための付随費用を含めた金額で、会計上の取得価額通りです。

圧縮記帳したものについては、圧縮前の価額を計上します。

資本的支出となる修繕費等は、修繕の対象となった資産とは別個に計上します。

記載する資産数が20件以上の場合は、2枚目以降に順次記載し、最終ページに合計額を記載します。

資産の種類ごとの合計額を申告書の取得価額「前年中に取得したもの」の該当欄に転記します。また、別表1の合計額は申告書の取得価額「前年中に取得したもの」の合計欄の金額に一致しなければなりません。

増加理由 … 該当する番号を記入します。

新品取得

中古品取得

移動による受入れ(複数の市町村に事業所を有する事業者の場合)

その他

摘要欄には、次のような場合にその旨を記載します。

●非課税、課税標準の特例資産に該当する場合

●中古品の取得の場合で見積耐用年数を適用している場合

26号様式別表2実物はA4横サイズ

申告初年度の翌年以降に廃棄・売却等した資産を記載して26号様式に添付します。

所有者コード

種類別明細書(減少資産用)

所 有 者 名

枚のうち

枚   目

抹  消

コード

資産の名称等

 

取得年月

取得価額

耐用年数

申告年度

減 少 の 理 由

 

備 考

年号

1 売却  2 滅失

3 移動  4 その他

1全部

2一部

01

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

02

2

1

1

1

1

1

1

11

1

1

1

1

1

03

3

2

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

04

4

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

 

 

     (以下続きます) 

 

          

19

5

1

 

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

20

6

1

 

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

合  計

1

申告書へ転記

抹消コード欄には、申告書用紙に添付されて送られてくる「種類別明細リスト」に記載されているコードを記入します。

申告年度はその資産を最初に申告した年度です。

減少の理由及び「全部又は一部」は該当する番号を記入します。

摘要欄の記載事項

●移動による減少の場合は、受入先を記載します。

●その他による減少の場合は、その理由。

その他の欄については、別表1を参照してください。

【補足】… 評価額、決定価格、課税標準額

26号様式の下に「評価額」「決定価格」「課税標準額」の各欄がありますが、電算申告でない(通常の)申告ではこれらの欄は記入不要です。

原則としては評価額=決定価格=課税標準額ですが、公害防止設備等で一定要件を満たすものは、課税標準額を軽減する措置がとられています。この措置の適用を受けるには、申告書に該当資産に関連する届出書・証明書等の添付が必要です。

【5】

電算申告

電算申告(コンピュータによる申告書の作成)の場合は、申告初年度だけでなく次年度以降も全資産申告を行います。通常の申告の場合は

   申告書+別表1(増加分)、別表2(減少分)

ですが、電算申告の場合は

   申告書+別表1(全資産)

を申告します。この場合26号様式については

「取得価額」の「イ」「ロ」「ハ」の各欄は記載不要です。別表1に全資産を記載する場合は、別表1の合計額が「計」欄の金額と対応することになります。また、「ロ」「ハ」欄に対応する金額の付属明細書(別表1の「増加資産」及び別表2の「減少資産」)を作成しませんから、「記載不要」というより「記載不能」でしょう。

下部の「評価額」「決定価格」「課税標準額」の各欄も記入します。

26号様式別表1(全資産)については、「価額(=評価額)」「減価残存率」「課税標準額」の欄も要記載とする市町村が一般的です。「手引き」でご確認ください。

製作・著作 協進会   2008/11(改訂)


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