【1】 |
償却資産の範囲
ほぼ法人税法・所得税法の償却資産と同じですが、次のものについては個々に判断してください。
(固定資産税の対象=○ 固定資産税の対象外=×)
区
分 |
判
定 |
備 考
|
取得価額が10万円未満のもの |
× |
取得価額が20万円以上のものでも耐用年数が1年未満のものは×(法人税でも償却資産になりませんから、当然です)
|
取得価額が10万円以上かつ20万円未満のもの |
一括償却資産としたもの
|
× |
個別償却したもの
|
○ |
中小企業者の少額(30万円未満)減価償却資産の即時償却の対象資産 |
○ |
|
償却済資産、建設仮勘定
|
○
|
事業の用に供されている場合
|
簿外資産
|
○
|
事業の用に供されており、本来は減価償却できるのも
|
遊休資産
|
○ |
使用可能なもの
|
修繕費等のうち「資本的支出」に該当するもの
|
○
|
|
賃貸の店舗・事務所などに施した、内外装工事費や電気・給排水・空調その他の設備
|
○
|
|
|
【2】 |
提出する申告書の種類
償却資産申告書には次の3つの様式があります。
① |
第二十六号様式 |
償却資産申告書です |
|
② |
第二十六号様式別表一 |
償却資産申告書の付属明細書です
|
所有する全ての資産を記載する場合と、期中に増加した資産(だけ)記載する場合があります
|
③ |
第二十六号様式別表二 |
期中に減少した資産を記載します
|
【新設法人の場合】 |
|
前年(暦年)中に新設された法人の場合は、全ての資産を申告しなければなりません。申告書が提出されるまで、市町村にはその法人分の台帳がありませんから、新たに台帳を作成します。
新設法人の場合は①と②を提出しますが、②には所有する全ての資産を記載しなければなりません。
なお、過去に償却資産を所有していなかった法人が、新たに所有することになった場合も同様です。
|
【既存の法人の場合】
|
前年に償却資産申告書を提出している法人であれば、既に市町村には課税台帳が作成されていますから、この台帳を更新すればよく、全資産を申告する必要はありません。台帳の更新のために、前年中の増加分(新規取得)と減少分(廃棄・売却等)を申告します。
申告書①に、②・③を添付しますが、②に記載するのは増加分(新規取得分)だけです。 |
個人事業者の場合は、上の「法人」を「事業者」と読み替えてください。 |
補足: |
償却資産申告書をコンピュータで作成している場合は、既存の法人であっても全資産を申告することとなっています(詳しくは市町村にお問い合わせください)。この場合は、新設法人と同様の作成方法になります。
|
|
【3】 |
評価額の計算
償却資産にかかる固定資産税は、その年の1月1日現在に所有している償却資産に課税されます。この申告書作成の中心は、「評価額」の計算です。「申告書の書き方」の説明の前に、「評価額」の計算方法を説明します。
■
|
法人税法の減価償却限度額の計算は(同一種類の)グループ計算も可能ですが、償却資産の申告は1品ごとに計算します。
|
■
|
評価額は、1月1日現在の期首価額です。
償却額の計算は
⇒
期首価額×償却率×償却月数÷(事業年度の計算月数)ですが、評価額は⇒
期首価額(前年の評価額)×減価残存率で計算します。両者の意味するところは同じですが、減価残存率が決められているので、端数処理方法等で若干の計算誤差が生じるかもしれません。
評価額の計算については、次の点に注意してください。
減価残存率 |
前年中の新規取得資産
⇒
1-旧定率法の償却率/2 (二分の一償却です) 前年前に取得した資産
⇒ 1-旧定率法の償却率 |
圧縮記帳 |
認められません |
特別償却・割増償却 |
認められません |
最低価額 |
取得価額の5%相当額 |
|
■
|
前年中に取得した資産の場合
取得価額=A 、旧定率法の償却率=B
評価額=
A × ( 1- B / 2 ) …
B/2 の少数点4位は切上げ
|
少数点4位は切上げ
⇒
端数処理は四捨五入としている市町村が多いようですが、小数点3位の奇数を2で割れば小数点4位は全て「5」になり、結果は切上げになります。
|
■
|
前年より前に取得した資産の場合
前期の評価額=M 、旧定率法の償却率=B 評価額=
M × ( 1- B )
|
■
|
上の方法で1品ごとに計算した結果を、次の種類ごとに集計します。
構築物 |
建物付属設備のうち構築物的要素のものを含みます |
機械及び装置 |
建物付属設備のうち機械的要素のものを含みます |
船舶 |
|
航空機 |
|
車両及び運搬具 |
自動車税、軽自動車税が課税されるものは対象外です |
工具、器具及び備品 |
|
|
|
【4】
|
26号様式、26号様式別表1、26号様式別表2
それでは申告書の書き方に進みます。
■26号様式(実物はA4横サイズ)
|
償却資産申告書(償却資産課税台帳) |
所有者コード
|
|
所
有
者 |
住所 |
|
事業種目
(資本等の金額) |
|
短縮耐用年数の承認 |
有・無 |
増加償却の届出 |
有・無 |
事業開始年月日 |
|
非課税該当資産 |
有・無 |
氏名 |
(屋号 ) |
この申告に応答する者係及び氏名 |
|
課税標準の特例 |
有・無 |
特別償却又は圧縮記帳 |
有・無 |
税理士等の氏名 |
|
税務会計上の償却方法 |
定率法
定額法 |
青色申告 |
有・無 |
資産の種類 |
取 得 価 額 |
市(区)町村内における事業所等資産の所在地 |
①
②
③ |
前年前に取得したもの(イ) |
前年中に減少したもの(ロ) |
前年中に取得したもの(ハ) |
計
(イ)-(ロ)+(ハ) |
1 |
構築物 |
前年の申告書の「計」欄の金額を転記します
|
26号様式別表2(減少資産)の金額と一致しなければなりません |
26号様式別表1(増加資産)の金額と一致しなければなりません |
|
2 |
機械装置 |
|
3 |
船 舶 |
|
4 |
航空機 |
|
借用資産
(有・無) |
貸主の名称等
|
5 |
車 両 |
|
6 |
器具備品 |
|
事業家屋の所有区分
(自己所有・借家) |
7 |
合 計 |
|
別表2の合計
|
別表1の合計
|
|
|
資産の種類
|
※評価額
|
※決定価格
|
※課税標準額
|
備考
この欄の記載要綱は市町村によって異なります
|
|
1
|
構築物
|
|
|
|
|
2
|
機械装置
|
|
|
|
|
3
|
船 舶
|
|
|
|
|
4
|
航空機
|
|
|
|
|
5
|
車 両
|
|
|
|
|
6
|
器具備品
|
|
|
|
|
7
|
合 計
|
|
|
|
■ |
「取得価額」の各欄
…
前年の申告書、別表1・別表2の金額と一致しなければなりません。
個人事業者の場合、所得税の青色決算書・白色内訳書の「減価償却費の計算」には「事業割合」の欄がありますが、償却資産税の場合はそれに類する項目はありません。事業用資産は、使用状況に関らず取得価額の全額を申告します
( 別表 1、2 も 同様 )。 |
■ |
「※」の付いた3項目は記載不要です(このページの
電算申告 を参照してください)。 |
■ |
「課税標準の特例」はこのページの
【補足】 を参照してください。 |
■26号様式別表1(実物はA4横サイズ)
申告初年度は所有する償却資産を全品、それ以後は前年中の取得資産を記載して26号様式に添付します。
所有者コード
|
種類別明細書(増加資産・全資産用) |
所 有 者 名
|
枚のうち |
枚
目
|
行
番
号 |
資
産
種
類 |
※
資 産
コード
|
資産の名称等 |
数
量 |
取得
年月 |
取得価額 |
耐用年数 |
減
価
残
存
率 |
※ |
※ |
※ |
増加事由 |
摘要 |
年号 |
年 |
月 |
01 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
02 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
03 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
04 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(以下続きます)
※マークの項目は記載不要です(価額、課税標準の特例、課税標準額など)
|
19
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
20
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
小 計
|
|
/
|
申告書へ転記
|
/
|
|
|
|
|
|
■ |
資産の種類は26号様式の区分の番号を記載します。 |
■ |
資産の名称は20文字以内で記載します(カタカナの濁点は1文字とします)。 |
■ |
取得年月の年号は「平成…4、昭和…3、大正…2、明治…1」の番号を記載します。 |
■ |
取得価額
…
取得のための付随費用を含めた金額で、会計上の取得価額通りです。
● |
圧縮記帳したものについては、圧縮前の価額を計上します。 |
● |
資本的支出となる修繕費等は、修繕の対象となった資産とは別個に計上します。 |
|
■
|
記載する資産数が20件以上の場合は、2枚目以降に順次記載し、最終ページに合計額を記載します。 |
■
|
資産の種類ごとの合計額を申告書の取得価額「前年中に取得したもの」の該当欄に転記します。また、別表1の合計額は申告書の取得価額「前年中に取得したもの」の合計欄の金額に一致しなければなりません。 |
■
|
増加理由
… 該当する番号を記入します。
1 |
新品取得 |
2 |
中古品取得 |
3 |
移動による受入れ(複数の市町村に事業所を有する事業者の場合) |
4 |
その他 |
|
■
|
摘要欄には、次のような場合にその旨を記載します。
●非課税、課税標準の特例資産に該当する場合
●中古品の取得の場合で見積耐用年数を適用している場合 |
■26号様式別表2(実物はA4横サイズ)
申告初年度の翌年以降に廃棄・売却等した資産を記載して26号様式に添付します。
所有者コード |
種類別明細書(減少資産用) |
所 有 者 名 |
枚のうち |
枚
目
|
行
番
号 |
資
産
種
類 |
抹
消
コード |
資産の名称等 |
数
量 |
取得年月
|
取得価額 |
耐用年数 |
申告年度 |
減 少 の 理 由 |
備 考 |
年号 |
年 |
月 |
1
売却 2 滅失
3
移動 4 その他 |
1全部
2一部 |
01 |
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
02 |
2
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
11
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
03 |
3
|
2
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
04 |
4
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
(以下続きます)
|
19 |
5
|
1
|
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
20 |
6
|
1
|
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
|
合 計 |
1 |
/ |
申告書へ転記 |
|
■ |
抹消コード欄には、申告書用紙に添付されて送られてくる「種類別明細リスト」に記載されているコードを記入します。 |
■ |
申告年度はその資産を最初に申告した年度です。 |
■ |
減少の理由及び「全部又は一部」は該当する番号を記入します。 |
■ |
摘要欄の記載事項
●移動による減少の場合は、受入先を記載します。
●その他による減少の場合は、その理由。 |
■ |
その他の欄については、別表1を参照してください。 |
【補足】…
評価額、決定価格、課税標準額
|
26号様式の下に「評価額」「決定価格」「課税標準額」の各欄がありますが、電算申告でない(通常の)申告ではこれらの欄は記入不要です。 |
|
原則としては評価額=決定価格=課税標準額ですが、公害防止設備等で一定要件を満たすものは、課税標準額を軽減する措置がとられています。この措置の適用を受けるには、申告書に該当資産に関連する届出書・証明書等の添付が必要です。 |
|
【5】
|
電算申告
電算申告(コンピュータによる申告書の作成)の場合は、申告初年度だけでなく次年度以降も全資産申告を行います。通常の申告の場合は
申告書+別表1(増加分)、別表2(減少分)
ですが、電算申告の場合は
申告書+別表1(全資産)
を申告します。この場合26号様式については
①
|
「取得価額」の「イ」「ロ」「ハ」の各欄は記載不要です。別表1に全資産を記載する場合は、別表1の合計額が「計」欄の金額と対応することになります。また、「ロ」「ハ」欄に対応する金額の付属明細書(別表1の「増加資産」及び別表2の「減少資産」)を作成しませんから、「記載不要」というより「記載不能」でしょう。
|
②
|
下部の「評価額」「決定価格」「課税標準額」の各欄も記入します。
|
26号様式別表1(全資産)については、「価額(=評価額)」「減価残存率」「課税標準額」の欄も要記載とする市町村が一般的です。「手引き」でご確認ください。
|
製作・著作 協進会
2008/11(改訂) |
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