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新税率と旧税率が混在する場合の消費税申告書の書き方(一般用)

T  税率区分ごとに、売上高と仕入・経費・固定資産の購入費等に係る支出額を集計する(申告書作成の準備段階です)

旧税率分の売上額と、新税率分の売上額を分けて集計しますが、新税率分については更に標準税率分と軽減税率分の区分が必要です。旧税率と新税率の軽減税率は同じ8%ですが、国税分と地方税分の比率が異なるため(旧税率は国税分が6.3%、新軽減税率は国税分が6.24%)3区分での集計が必要です。なお、免税売上と非課税売上については、それぞれ一括で集計します。

仕入・経費・固定資産の購入費等に係る支出額についても同様に区分して集計します。

新税率の標準税率と軽減税率の区分ですが、それに対応したレジシステムや会計ソフトを使用すれば、区分集計は自動的に処理できます。しかし、それができない、或いは困難な事業者はどうそればよいか .....  次の特例が設けられています。

1.対象事業者 …  前々年(個人)又は前々事業年度(法人)の課税売上高が5千万円以下の事業者

2.適用期間 …  売上額計算の特例は軽減税率制度の実施から4年間、 仕入額計算の特例は軽減税率制度の実施から1年間

3.内容

売上額の区分計算

 

卸売業又は小売業で、標準税率と軽減税率の仕入額の割合が算定できる事業者

標準税率と軽減税率の売上額が、標準税率と軽減税率の仕入額の割合と同じとして計算する

小売等軽減仕入割合

 標準税率の仕入割合=25%、軽減税率の仕入割合=75%の場合

 標準税率の売上額=総売上額 ✕ 0.25

 軽減税率の売上額=総売上額 − 標準税率の売上額

 

仕入れた商品を加工して販売する場合や仕入れの区分経理が行えない事業者(10日間の売上管理であればナントカできる事業者)

通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額 ÷ 通常の連続する10営業日の売上総額

軽減売上割合(10営業日)

10日間は区分して実額で売上額を集計する必要があります。「通常の」ですから「特別セール」や「〇〇祭」等が含まれないことが要件です。

 

 標準税率の売上割合=80%、軽減税率の売上割合=20%の場合

 標準税率の売上額=総売上額 ✕ 0.8

 軽減税率の売上額=総売上額 − 標準税率の売上額

仕入額割合の算定も10日間の売上管理もできない事業者は、標準税率の売上割合と軽減税率の売上割合をそれぞれ50%とすることもできます(主に軽減税率対象品目を販売する事業者が対象です)。

 

仕入額(及び経費等の額)の区分計算

 

卸売業又は小売業で、標準税率と軽減税率の売上額の割合が算定できる事業者

標準税率と軽減税率の仕入額が、標準税率と軽減税率の売上額の割合と同じとして計算する

小売等軽減売上割合

 

 標準税率の売上割合=35%、軽減税率の売上割合=65%の場合

 標準税率の仕入額=総仕入額 ✕ 0.35

 軽減税率の仕入額=総仕入額 − 標準税率の仕入額

区分計算が全くできない場合、売上額については「標準税率の売上割合と軽減税率の売上割合をそれぞれ50%」とすることで何とか対応できますが、仕入額についてはそのような対応は採れませんので、その場合は「簡易課税」を選択するしかありません。そのため「簡易課税制度選択届出書」を提出した課税期間から簡易課税制度の適用ができる特例が設けられています(令和元年10月1日から令和2年9月30日での日の属する課税期間)。

U  申告書の書き方(作成手順)

付表2 ⇒ 付表1 ⇒ 申告書(第一表及び第二表)の順に作成します。

付表2は総売上額と課税売上額及び課税売上割合、課税仕入れ額及び控除対象仕入税額(売上に係る消費税額から控除する額)などを、付表1は納付すべき消費税額を計算・記載します。

旧税率の5%、8%、新税率の軽減8%、新税率の標準10%はいずれも国税(消費税)分と地方税(地方消費税)分の合計です。申告書では国税分と地方税分を分けて計算しますから、国税分はそれぞれ 4%、6.3%、6.24%(軽減)、7.8%(標準) になります。

【1】

付表2の作成

付表2は旧税率分を記載する付表2-2と、旧税率分の合計額と新税率分(軽減税率分と標準税率分)を記載する付表2-1の2枚を作成します。付表2-2 ⇒ 付表2-1の順に作成しますが、 CFG欄  は新旧税率分の合計額で算定するため、付表2−1の作成後に付表2-2へ転記します。

計算順序は、次の通りです。

 課税売上割合 ⇒ 課税仕入等の税額(控除する仮払消費税額)⇒   控除額 

【付表2-2】

 

 税率3%適用分

税率4%適用分

税率6.3%適用分

旧 税 率 分 小 計

 

課税売上額(税抜き)

@

返還(返品・値引き・割戻し)差引後の税抜き額です

 

免税売上額

A

 記載しません

記載しません

非課税資産の輸出等の金額、海外支店等へ移送した資産の価額

B

  課税資産の譲渡等の対価の額

C

付表2-1から転記

 

課税資産の譲渡等の対価の額(Cの額)

D

記載しません

非課税売上額

E

  資産の譲渡等の対価の額

F

付表2-1から転記

  課税売上割合(C÷F)

G

付表2-1から転記

 

課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)

H

返還(返品・値引き・割戻し)差引後の税込み額です

 

課税仕入れに係る消費税額

I

(H×3÷103)

(H×4÷105)

H×6.3÷108)

税抜経理で積上方式により経理処理している場合は「仮払消費税」の合計額とすることができる

特定課税仕入れに係る支払対価の額

J

記載しません

(該当事項なし)

 

特定課税仕入れに係る消費税額 K (J×6.3÷100)
課税貨物に係る消費税額 L  

(*)

M

 

 

 

 課税仕入れ等の税額の合計額

N

I+K+L±M

 

課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の場合

O

Nの金額と同額です

 

課税売上高が5億円超又は課税売上割高が95%未満の場合

Nのうち課税売上にのみ要するもの

P

課税品の仕入高、課税売上に関連する経費(主に販売費)など

Nのうち課税売上と非課税売上に共通して要するもの

Q

経費(主に一般管理費)、固定資産の取得費等

個別対応方式により控除する課税仕入等の税額

R

P+(Q×C÷F)

一括比例配分方式により控除する課税仕入等の税額

S

N×C÷F

 

 

(*)

 

 

 

 

(*)

 

 

 

 

控除対象仕入税額

課税売上割合が95%以上の場合はOの金額、95%未満の場合はR又はSの金額

 

控除過大調整税額 (*)

 

 

 

 

 貸倒回収に係る消費税額

 

 

 

 

課税売上高が5億円超の場合は、課税仕入れ等の税額の全額を控除することができませんので、P〜Sの記載が必要です。

特定課税仕入れ  については、リンク先の解説をお読みください。 

課税売上割合が95%未満の場合について詳しくは ⇒ 消費税小論集

(*) 控除税額の調整が必要な特殊事例です、詳しくは  消費税小論集

【付表2-1】

旧税率分小計」欄は CFG欄  を除き付表2-2の小計欄の金額をそのまま記載します。

 

旧 税 率 分 小 計

税率6.24%適用分

税率7.8%適用分

合    計

 

課税売上額(税抜き)

@

返還(返品・値引き・割戻し)差引後の税抜き額です

 

免税売上額

A

 記載しません

 

非課税資産の輸出等の金額、海外支店等へ移送した資産の価額

B

 

  課税資産の譲渡等の対価の額

C

付表2-2へ転記

 

課税資産の譲渡等の対価の額(Cの額)

D

 

非課税売上額

E

 

  資産の譲渡等の対価の額

F

付表2-2へ転記

  課税売上割合(C÷F)

G

付表2-2へ転記

 

課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)

H

返還(返品・値引き・割戻し)差引後の税込み額です

 

課税仕入れに係る消費税額

I

(H×6.24÷108)

(H×7.8÷110)

税抜経理で積上方式により経理処理している場合は「仮払消費税」の合計額とすることができる

特定課税仕入れに係る支払対価の額

J

 

記載しません

(該当事項なし)

 

特定課税仕入れに係る消費税額 K   (J×7.8÷100)
課税貨物に係る消費税額 L      

(*)

M

 

 

 

課税仕入れ等の税額の合計額

N

I+K+L±M

 

課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の場合

O

Nの金額と同額です

 

課税売上高が5億円超又は課税売上割高が95%未満の場合

Nのうち課税売上にのみ要するもの

P

課税品の仕入高、課税売上に関連する経費(主に販売費)など

Nのうち課税売上と非課税売上に共通して要するもの

Q

経費(主に一般管理費)、固定資産の取得費等

個別対応方式により控除する課税仕入等の税額

R

P+(Q×C÷F)

一括比例配分方式により控除する課税仕入等の税額

S

N×C÷F

 

 

(*)

 

 

 

 

(*)

 

 

 

 

控除対象仕入税額

課税売上割合が95%以上の場合はOの金額、95%未満の場合はR又はSの金額

 

控除過大調整税額 (*)

 

 

 

 

貸倒回収に係る消費税額

 

 

 

 

【2】

付表1の作成

付表1も旧税率分を記載する付表1-2と、旧税率分の合計額と新税率分(軽減税率分と標準税率分)を記載する付表1-1の2枚を作成します。付表1は納付すべき消費税額を計算・記載します。

【付表1-2】

区        分    

税率3%適用分

税率4%適用分

税率6.3%適用分

 旧 税 率 分 小 計 ** 

 課税標準額

@

税抜き額で、千円未満は切捨て

 

@の内訳

課税資産の譲渡等の対価の額

 

 

   

特定課税仕入れに係る支払対価の額

 

(該当事項なし)

 

 消費税額

A

 @×0.03

@×0.04

@×0.063

 

積上方式により経理処理している場合は「仮受消費税」の合計額とすることができます

控除過大調整税額

B

付表2-2の該当金額を転記します 

 

控除対象仕入税額

C

 

返還等対価に係る税額

D

 

 

 

 

Dの内訳

売上げの返還等対価に係る税額

 

 

 

 

特定課税仕入れの返還等対価に係る税額

 

(該当事項なし)

 

貸倒れに係る税額

E

 

 

 

 

控除税額小計 (C+D+E)

F

 

 

 

 

控除不足還付税額 (F-A-B)

G

  A+B < F  の場合

 

差  引  税  額    (A+B-F)

H

 A+B > F  の場合

 

合計差引税額 (H-G)

I

記載しません

地の

方課

消税

費標

税準

 控除不足還付税額

J

(該当事項なし)

Gの金額を転記

Gの金額を転記

 

 差引税額

K

Hの金額を転記

Hの金額を転記

 

合計差引地方消費税の課税標準となる消費税額 (K-J)

L

 

 

 

譲割

渡額

還付額

M

J×25÷100

J×17÷63

 

納税額

N

K×25÷100

K×17÷63

 

合計差引譲渡割額 (N-M)

O

 記載しません

I、L、O の計算では、結果がプラスの場合とマイナスの場合があり、マイナスの場合は還付請求になります。

【付表1-1】 付表1-2の「旧税率分小計」欄の金額を該当欄の転記します。

区        分    

旧 税 率 分 小 計

税率6.24%適用分

税率7.8%適用分

 合      計**  

 課税標準額

@

税抜き額で、千円未満は切捨て

 

@の内訳

課税資産の譲渡等の対価の額

 

 

   

特定課税仕入れに係る支払対価の額

 

  (該当事項なし)  

 消費税額

A

 

@×0.0624

@×0.078

 

 

積上方式により経理処理している場合は「仮受消費税」の合計額とすることができます  

控除過大調整税額

B

 

付表2-1の該当金額を転記します   

控除対象仕入税額

C

 

返還等対価に係る税額

D

 

 

 

 

Dの内訳

売上げの返還等対価に係る税額

 

 

 

 

特定課税仕入れの返還等対価に係る税額

 

 

(該当事項なし)

 

貸倒れに係る税額

E

 

 

 

 

控除税額小計 (C+D+E)

F

 

 

 

 

控除不足還付税額  (F-A-B)

G

 

 

差  引  税  額    (A+B-F)

H

 

 

合計差引税額 (H-G)

I

記載しません

 

地の

方課

消税

費標

税準

 控除不足還付税額

J

  記載しません

X+Y

 

 差引税額

K

 

A+B

 

合計差引地方消費税の課税標準となる消費税額 (K-J)

L

 

 

 

譲割

渡額

還付額

M

 

J×22÷78

 

納税額

N

 

K×22÷78

 

合計差引譲渡割額 (N-M)

O

 記載しません

 

I、L、O の計算では、結果がプラスの場合とマイナスの場合があり、マイナスの場合は還付請求になります。

付表1-1の「合計」欄の金額を、申告書(第一表及び第二表)の該当項目欄に転記します。

【3】

付表1付表2の結果を申告書(第一表、第二表)に転記し確定税額を算出する

【 申告書 第二表 】   

  付表1-1から転記する項目です
  付表1-2から転記する項目です

 

 課 税 標 準 額    ※申告書(第一表)の@欄へ

1

0 0 0  

 

課税資産の譲渡等の

対価の額の合計額

3 % 適 用 分

2

 

4 % 適 用 分

3

 

6.3 % 適 用 分

4

 

6.24  % 適 用 分

5

 

7.8  % 適 用 分

6

 

(   合       計    )

7

 

特定課税仕入れに係

る対価の額の合計額

6.3 % 適 用 分

8

 

7.8  % 適 用 分

9

 

(   合       計    )

10

 

 

 消 費 税 額      ※申告書(第一表)のA欄へ

11

 

Jの内訳

3 % 適 用 分

12

 

4 % 適 用 分

13

 

6.3 % 適 用 分

14

 

6.24  % 適 用 分

15

 

7.8  % 適 用 分

16

 

 

 返還等対価に係る税額   ※申告書(第一表)のD欄へ

17

 

Pの内訳

売上げの返還等対価に係る税額

18

 

特定課税仕入れの返還等対価に係る税額

19

 

 

地方消費税額の課税

標準となる消費税額

(   合       計    )

20

 

4 % 適 用 分

21

 

6.3 % 適 用 分

22

 

6.24% 及び 7.8% 適用分

23

 

【 申告書 第二表 】の「改正法附則による税額の特例計算」

第二表の右上「軽減売上割合(10営業日)、小売等軽減仕入割合、小売等軽減売上割合」の欄は、該当するものに「〇」を付しますが、 内容についてはこのページの「T  」を参照してください。

【 申告書 第一表 】   

課税標準額

@

第二表の該当金額を転記

消費税額

A

控除過大調整税額

B

付表1-1の該当金額を転記

控除対象仕入税額

C

返還等対価に係る税額

D

第二表の該当金額を転記

貸倒れに係る税額

E

付表1-1の該当金額を転記

控除税額小計

F

控除不足還付税額

G

付表1-1のIがマイナスの場合の金額

差引税額

H

付表1-1のIがプラスの場合の金額

中間納付税額

I

当期分の中間納付額を記載します

納付税額

J

H−I>0 の場合の金額

中間納付還付税額

K

H−I<0 の場合は還付請求します

修正申告の場合

 

L

 

 

M

 

課税売

上割合

課税資産の譲渡等の対価の額

N

付表2-1のCの金額を転記

資産の譲渡等の対価の額

O

付表2-1のFの金額を転記

課税

標準

控除不足還付税額

P

付表1-1のLがマイナスの場合の金額

差引税額

Q

付表1-1のLがプラスの場合の金額

譲割

渡額

還 付 額

R

付表1-1のOがマイナスの場合の金額

納 税 額

S

付表1-1のOがプラスの場合の金額

中間納付譲渡割額

 

納付譲渡割額

S − >0 の場合

中間納付還付譲渡割額

S − <0 の場合は還付請求します

修申

正告

 

 

   合     計     額

消費税及び地方消費税の合計額(還付請求額の場合は−を付して記載)

【 申告書 第一表 】の参考事項   

●課税標準額に対する消費税額の計算の特例の適用 (旧表記=規則22条1項の適用)

消費税の処理を税抜経理で行っており、かつ代金の請求(領収)・支払(請求書の受領)の都度消費税を別途計上している場合が該当します。

●基準期間の課税売上高

基準年度は前前事業年度です。

 申告書の用紙などは 国税庁の該当ページ からダウンロードしてください

製作・著作 協進会管理人 山元 悟   ( 2019 / 10 )

 


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