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法人税法施行令の端数処理に関する規定はどこにもありませんが、第百三十三条の二に次の条文があります。
一括償却資産の損金算入 |
当該一括償却資産につき当該事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該一括償却資産の全部又は一部につき損金経理をした金額(……
)のうち、当該一括償却資産に係る一括償却対象額を三十六で除しこれに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額(……
)に達するまでの金額とする。 |
「……
金額に達するまでの金額」とあるので、「端数は切捨て」が多数派となっています。「端数は切捨て」に従うと
一括償却資産の取得価額が
865,862円の場合、 865,862 ÷ 3 =
288,620.666… ⇒ 端数を切上げて288,621
にすると 「達するまでの金額」を超えてしまいます。
各期の償却(限度)額を 288,620円とすると、
288,620 × 3 = 865,860
ですから、2円の端数が残ります。この2円
は4年目に償却するのでしょうか? 一括償却資産は3年均等償却ですから、ナニカ
割り切れない感じがします。 法人税別表16(8)で確認してみましょう。「4」欄の金額は、記載の計算式通りだと
288,620円ですが、4年目では繰越した端数だけを償却するので
2円と記載すると計算式を無視することになります。別表16(8)は端数の繰越処理を想定していません。
事業の用に供した事業年度又は連結事業年度 |
1 |
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前々々期 |
前々々期 |
前々期 |
前期 |
(当期分) |
同上の事業年度又は連結事業年度において事業
の用に供した一括償却資産の取得価額の合計額 |
2 |
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865,862 |
865,862
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865,862
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当期の月数(中間申告の場合は事業年度の月数) |
3 |
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12
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12
|
12
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当期分の損金算入限度額 (2)×(3)÷36 |
4 |
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288,620 |
2 |
288,620 |
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当 期 損 金 経 理 額 |
5 |
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2 |
2 |
288,620 |
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差引 |
損
金 算 入 不 足 額 |
6 |
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288,618 |
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2 |
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損
金 算 入
限 度 超
過 額 |
7 |
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限度超過額 |
前
期 か
ら の
繰 越 額 |
8 |
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同
上 の う
ち 当 期 認
容 額 |
9 |
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翌
期
へ
の
繰 越 額 |
10 |
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施行令第百三十三条の二の条文
「…… 一括償却対象額を三十六で除し」
は、別表16(8)の記載方法から判断すれば、3年で全額を償却し終える額を損金算入限度額とする
…… と読むことができます(できそうです)。 また、「端数は切捨て」は
288,620.666…<288,621
を根拠にしていますが、288,620<288,620.666…
で288,620
を超えているのだから、「端数は切上げ」
と判断しても妥当(許容範囲)でしょう。 |