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欠損金の繰越しと繰戻し還付 |
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平成21年度税制改正で、一部を除き不適用となっていた欠損金繰戻し還付が、中小法人には全面適用となりました(平成21年2月1日以後に終了する年度から適用)。要件は ● 還付所得事業年度(欠損年度より前の黒字申告年度)から、連続して青色申告をしていること ● 欠損年度の申告を期限内までに青色でしていること ● 申告書の提出と同時に欠損金繰戻し還付請求書を提出していること ですが、還付請求書を提出した場合には「その請求の基礎となった欠損金額その他必要事項について調査する」ことが税法で規定されています。 なお、欠損金繰戻し還付の適用があるのは法人税だけで、事業税等の地方税にはこのような制度はありません。 ■ 欠損金の繰戻しによる還付請求書 / 別表1(1) / 別表7(1) の記載方法 ◆欠損金の繰戻しによる還付請求書(抜粋)
還付金額(15) は (黒字年度の法人税額) × (当期の欠損金額) ÷ (黒字年度の所得金額) です。 ● 還付請求書はこちらからダウンロードできます ⇒ 国税庁 ◆別表1(1)(抜粋)
◆別表7(1)(抜粋)
■ 欠損金の繰越しと、繰戻しによる還付請求 さて、前期が黒字申告で当期が赤字申告の場合、当期の欠損金を繰越すかそれとも繰戻し還付請求するか … どちらが有利(節税)になるか、少しばかり考えてみましょう。 ◆前期の所得金額と繰戻し額の関係 還付請求金額 は (黒字年度の法人税額) × (当期の欠損金額) ÷ (黒字年度の所得金額) です。 (黒字年度の法人税額) ÷ (黒字年度の所得金額)= 黒字年度の税率 ですから、 還付(請求)金額 =(当期の欠損金額) × (黒字年度の税率) で、黒字年度の所得金額が800万円を超えていれば、通常税率部分がありますから、800万円以下の場合より還付(請求)額は多くなります。 〔例〕 当期欠損金額 △250万円
また、 ( 確定申告書の提出期限の翌日 + 3ケ月経過日)~(還付金支払決定日) までは還付加算金が付加されます。 【還付加算金】 本則は7.3%、特例基準割合は「貸出約定平均金利+1%」で、本則と特例基準割合を比較し、特例基準割合が本則より低い場合は特例基準割合が適用されます。平成27年~平成28年の特例基準割合は1.8%です。 ◆次期も赤字予測の場合 次期も赤字が予測される場合は、節税云々より資金繰り上の必要性が判断基準でしょう。 ◆次期が業績改善予測の場合 大法人のように単一税率 ( ここでは24%とします ) の場合は、欠損金を繰越しても繰戻し還付を受けても結果は同じです。当期の欠損金額を 500万円、次期の予測所得金額を850万円としておきます。
ここでは、還付加算金の有無や資金繰り上の財務費用(借入利息等)は考慮していせん。実務では、それらを勘案して判断することになりますが、税額だけで判断すればどちらもでも変わりません。 さて、平成21年度税制改正で全面適用となったのは中小法人で、中小法人には軽減税率がありますからココからが本題です。 中小法人でも所得金額が前期実績・次期予測のいずれもが 800万円以下であれば、結果として単一税率になりますので、ここでは 次期予測額を4通り検討します。上の例で、軽減税率が15%の場合
前期の法人税額のうち税率が24%部分の金額は 48万円で、還付金を受ける場合は、この部分のうち 24万円を受け取ることになります。 ● A・Bの場合は、還付金を受ける方が欠損金を繰越す場合より節税になります。これは 還付金に占める24%税率部分が、次期予測税額に占める24%税率部分より多いためです ( Aでは24%税率部分は 「0」 )。 ● C・Dの場合は、欠損金を繰越す方が還付金を受ける場合より節税になります。これは 欠損金を繰越すことによって、所得金額の全額が軽減税率の範囲に収まっているからです。 数学の問題として正確な計算式を作る事もできるでしょうが、経理・税務実務としては、「還付請求をする場合は24%税率部分の還付額が多いほど、繰越しをする場合は軽減税率部分が多くなるほど」節税効果ありとして、幾つかシミュレーションしてみては如何でしょうか。 平成21年4月1日以降、税率 は徐々に下がり、軽減税率をみれば、22% ⇒ 18%(平成21年度改正) ⇒ 15%(平成24年度改正) となっています。一般論としては ● 軽減税率がより高い事業年度から還付金を受け取れば有利 ですが、逆に税率が高くなる場合は ● 軽減税率の低い事業年度の欠損金を繰越して、より高い事業年度で税額計算をすると税率軽減の恩恵にあやかれない 状況を両天秤に掛ける必要がありそうです。各自ご検討ください。 ■ 事業税と法人住民税(法人税割) 欠損金繰戻し還付は法人税だけの制度で、地方税にはありません。 ◆事業税 法人税で欠損金繰戻し還付をする事業年度でも、欠損金の繰越処理をします。
【6号様式別表9】
法人税別表7(1)とは、これ以後繰越額が大きく異なってきます。 ◆法人税割 ( 6号様式、20号様式 の抜粋 ) 当期は欠損のため、法人税割額は「0」です。法人税で繰戻し還付請求した額は、6号様式別表2の3 及び 20号様式別表2の3 に記載して翌期に繰り越します。
【6号様式別表2の3、20号様式別表2の3】
翌期に法人税額がある場合は、法人税割の課税標準から還付法人税額を控除し、繰越欠損金相当額だけ法人税額が少なくなるように調整します。
【6号様式別表2の3、20号様式別表2の3】
なお、分割法人の場合「課税標準となる法人税額」は10号様式、22号の2様式で算定します。
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