トップページ


会社法と決算書類


皆様ご存知の通り、平成18年5月施行の会社法によって、会社の組織設計が大幅に自由化されたり有限会社が廃止されたりと、会社に関する法令は大幅に変わりました。ここではそのうちの、決算書類に関連する部分で、小規模な会社にも影響する部分を簡単にまとめています。

1.会計基準

 

(旧)    商    法

会    社    法

配当

配当の原資は決算利益で、中間配当をする場合は中間決算が必要

配当の原資は剰余金で、配当は随時可能。配当時点(配当の決議日)の剰余金の計算が必要。

純資産が300万円を下回る場合は、配当は不可。

役員賞与

利益処分として経理処理する

費用として経理処理する

利益準備金

資本金の1/4に達するまで、配当等の額の

1/10以上を積み立てる

1/10を積み立てる(資本準備金としての積立も可)

欠損金の補填

実質的な変更はなし ( 一般的には、繰越利益金・任意積立金 ⇒ 利益準備金 の順に取り崩し、最終手段として減資で補填 )。

無償増資

可(利益準備金・その他の利益剰余金の資本組入れ)

不可(利益準備金・その他の利益剰余金の資本組入れは不可)

配当原資となる剰余金

@その他の資本剰余金(減資差益、自己株式処分益)

Aその他の利益剰余金(繰越利益剰余金)

2.決算書類

◆損益計算書

 

商 法 計 算 書 類 規 則

会 社 法 計 算 書 類 規 則 

経常損益の部、特別損益の部の区分は廃止されました

当期純損益までを記載し、繰越損益金は「株主資本等変動計算書」の一項目となりました。

 

 

 

 

 

 

 

【経常損益の部】

 売上高

 売上原価

   売上総利益

 販売費及び一般管理費

   営業損益

 営業外収益

 営業外費用

   経常損益

【特別損益の部】

 特別利益

 特別損失

  税引前当期純損益

  法人税等

  当期純損益

  繰越損益金

  当期末処分損益

売上高

売上原価

  売上総利益

販売費及び一般管理費

  営業損益

営業外収益

営業外費用

  経常損益

特別利益

特別損失

  税引前当期純損益

  法人税等

  当期純損益

 

 

 

◆貸借対照表

 

商法計算書類規則(資本の部)

会社法計算書類規則(純資産の部) 

「資産の部」と「負債の部」は、ほほ従来通りですが、「資本の部」が「純資産の部」に変更され、その構成が変わっています。

「評価・換算差額等」、「新株予約権」など小規模な会社にとって馴染みの薄い部分を除けば、相違点は当期純損益を記載しないことでしょう。

当期純損益は「株主資本等変動計算書」の一項目となりました。

当期未処分損益 繰越利益剰余金 とは同じ内容(のはず)ですが、配当の原資が利益から剰余金に変わったため、用語も変わったようです。

 

 

 

 

 

資本の部

資本金

資本剰余金

 資本準備金

利益剰余金

 利益準備金

 任意積立金

 当期未処分損益

  (うち当期損益) 

 

  資本の部合計

 

 

 

 

×××

 

×××

×××

×××

(×××)

 

 

×××

 

×××

 

 

 

 

×××

 

×××

 

 

純資産の部

株主資本

 資本金

 資本剰余金

  資本準備金

 利益剰余金

  利益準備金

  任意積立金

  繰越利益剰余金

 自己株式

  

評価・換算差額等

 その有価証券評価差額金 土地再評価差額

 

新株予約権

 

  純資産の部合計

 

 

 

×××

 

×××

×××

×××

 

 

 

×××

 

×××

 

 

 

×××

×××

 

 

×××

×××

 

×××

 

×××

 

◆株主資本等変動計算書

配当規制が緩和され(期中に随時可能)、配当原資も剰余金全般となったため、株主資本の構成変化を把握するために「株主資本等変動計算書」の作成が求められることになりました。「評価・換算差額等」、「新株予約権」など小規模な会社にとって部分を除けば、次のような形式で作成します。

【事例1 】

●前期末残高 … 下記の表の通り

●当期中の変動(変動のないものは除く)

繰越利益剰余金の処分

配当 … 3,000,000、利益準備金へ … 300,000、別途積立金へ … 1,000,000 ( 計 4,300,000 )

当期の純利益

3,650,000

 

株     主     資     本

資本金

資 本 剰 余 金

利 益 剰 余 金

自己株式

株主資本

合     計

資  本

準備金

その他の資本剰余金

資 本 剰

余金合計

利   益

準備金

その他の利益剰余金

利益剰余金

合        計

別  途

積立金

繰越利益

剰 余 金

前 期 末 残 高

20,000,000

 

 

 

852,000

4,500,000

5,220,000

 11,572,000

 

31,572,000

新株の発行

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剰余金の配当

 

 

 

 

300,000

 

△3,300,000

△3,000,000

 

△3,000,00

別途積立金積立て           1,000,000 △1,000,000 -    − 

当期純利益

 

 

 

 

 

 

3,650,000

 3,650,000

 

3,650,000

自己株式の処分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当期変動額計

 

 

 

 

300,000

1,000,000

△650,000

650,000

 

650,000

当 期 末 残 高

20,000,000

 

 

 

1,152,000 5,500,000

4,570,000

12,222,000

 

32,222,000

当期末残高の各項目は、貸借対照表の各項目と一致しなければなりません。

当期の利益処分に関するものは、議案として作成します。

ここでは参考のため、「資本剰余金」「自己株式」「新株の発行」「自己株式の処分」欄も表示していますが、いずれも不要です。

【事例2 】

●前期末残高 … 下記の表の通り

●当期中の変動(変動のないものは除く)

当期の純利益

3,650,000

繰越損失金の処理

当期の純利益で △3,000,000 を補填し、残額はそのまま繰越す

 

株     主     資     本

資本金

利 益 剰 余 金

株主資本合計

その他の利益剰余金

利益剰余金合計

繰越利益剰余金

前 期 末 残 高

20,000,000

△3,000,000

△3,000,000

17,000,000

変動額

当期純利益

 

3,650,000

3,650,000

3,650,000

当 期 末 残 高

20,000,000

650,000

650,000

20,650,000

 

3.個別注記表

次の項目について記載しますが、会社の形態によって記載が必須か任意かが相違します。なお、会計監査人設置会社では他に2項目あります(略)。 ○印 は記載が必須な事項です。

項      目 株式譲渡制限会社 株式譲渡非制限会社

重要な会計方針に係る事項に関する注記

貸借対照表に関する注記

 

損益計算書に関する注記

 

株主資本等変動計算書に関する注記

税効果会計に関する注記

 

リースにより使用する固定資産に関する注記

 

関連当事者との取引に関する注記

 

1株当たり情報に関する注記

 

重要な後発事象に関する注記

 

その他の注記

●重要な会計方針に係る事項に関する注記

会計処理の原則及び手続並びに表示方法

資産の評価基準及び評価方法

収益及び費用の計上基準

固定資産の減価償却の方法

その他計算書類作成のための基本となる重要な事項

引当金の計上基準

会計方針の変更

会計処理の原則又は手続きを変更した場合は、その旨、変更の理由及びその変更が計算書類に与える影響の内容

表示方法を変更した場合は、その内容

●株主資本等変動計算書に関する注記

事業年度末日における発行株式数(種類株式を発行している場合は種類別の発行数)

事業年度末日における自己株式数(種類株式を発行している場合は種類別の発行数)

事業年度中に行った剰余金の配当に関する事項

事業年度末日後に行なう剰余金の配当に関する事項

事業年度末日において発行している新株予約権の目的となる株式数(種類株式を発行している場合は種類別の発行数)

●その他の注記 … 会社の財産や損益の状態を正確に判断するために必要な事項

なお、貸借対照表・損益計算書等の末尾に注記事項を記載する場合は、この部分の個別注記表の作成は不要です。

また、注記表の作成に関する具体的な規定はありません。実態に即して適宜の形式で作成してください。

【参考 】

個 別 注 記 表

  (株)サンプル商事

自 平成○○年○月○日  至 平成○○年○月○○日     

〔資産の評価基準及び評価方法〕

有価証券

棚卸資産

〔固定資産の減価償却〕

有形固定資産

無形固定資産

〔引当金の計上〕

○○引当金

△△引当金

〔収益及び費用の計上基準〕

○○○○

○○○○

〔消費税の会計基準〕

消費税の会計処理は、○○方式によっている

〔その他計算書類作成のための基本となる事項〕

○○○○〜
○○○○〜

〔株主資本変動計算書に関する注記〕

発行済み株式の総数に関する事項

前期末発行済株式数   ***株 (全て普通株式である)

前期末発行済株式数   ***株 (全て普通株式である)

事業年度中に行った配当に関する事項

配当の総額

******円 基 準 日  平成○年○月○日

一株当りの配当額

***円 効力発生日 平成○年○月○日 

配当の原資については利益剰余金とする

事業年度の末日後に行うた配当に関する事項

配当の総額

******円 基 準 日  平成○年○月○日

一株当りの配当額

***円 効力発生日 平成○年○月○日 

配当の原資については利益剰余金とすることを予定している

平成○年○月○日開催の定時株主総会において、上記の議案は承認可決されている(平成○年○月○日補筆)。

4.その他

計算書類以外で作成の必要なものは、非公開会社の場合

●事業報告書

商法で「営業報告書」と呼ばれていたもので

@会社の状況に関する重要な事項

A「内部統制に関する体制整備」について決定・決議があるときはその決議の内容

取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

損失の危険の管理に関する規程その他の体制

取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

当該株式会社並びにその親会社及び子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制

●付属明細書

計算書類の付属明細書、事業報告の付属明細書があります。

◆計算書類に係る付属明細書 

■有形固定資産及び無形固定資産の明細

■引当金の明細

■販売費及び一般管理費の明細

■その他の重要な事項

◆事業報告に係る付属明細書  … 事業報告の内容を補足する重要な事項

 


著作:(有)協進会    (  2006/11/10 )


トップページ