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原価計算            

仕入れた商品を、そのまま販売する場合は売上利益の計算は簡単です。

期首商品在庫(2,000)

期中仕入(17,000)

    今期販売=16,800 期末商品在庫(2,200)

今期販売(16,800)  を売上原価といいますが、今期の販売額が 21,000 だとすると、21,000−16,800=4,200 が販売利益です。

製造業の場合は、期中仕入額ではなく製品製造原価で計算します。

期首製品在庫(2,000)

製品製造原価(17,000)

 

  今期販売=16,800

期末製品在庫(2,200)

■ 製造原価報告書

物を作るのには、次のものが必要です。

原材料

労力

機械・工具、動力(電気・燃料など)、工場・作業場 …

これらのものが幾ら掛かったかをまとめたものが、製造原価報告書です。これは年間(事業年度)の製造原価を総括したもので、決算書(財務諸表)の1種です。

材料費

 

 

 

 

期首材料棚卸高

500

この部分の計算は、商品仕入れの場合と同じです

 

期末材料棚卸高(*) … 貸借対照表の金額に一致

当期材料仕入高

4,500

合計

5,000

期末材料棚卸高(*)

700

当期材料費

4,300

労務費

8,000

製造部門で働いている人の給与・賞与等です

経費

 

 

 

 

 

 

 

電力・燃料費

580

 

水道代

220

 

減価償却費

2,150

工場、機械・工具などの償却費

荷造運搬費

300

製品の梱包・出荷費用

消耗品費

150

 

修繕費

130

 

  :

 

 

当期経費

4,800

 

当期総製造費用

17,100

当期材料費(4,300)+労務費(8,000)+当期経費(4,800)

期首仕掛品棚卸高

1,200

仕掛品=製造途中の半製品、貸借対照表の金額に一致

合計

18,300

 

期末仕掛品棚卸高

1,300

 

当期製品製造原価

17,000

損益計算書の金額に一致

原価計算?

注文住宅の建築の場合は、資材費・労務費・その他の経費が、1軒1軒どれだけかかったか分かりますから、それを集計すれば原価が判明します。

1品ごとに受注製造する場合は、住宅建築と同じように集計すれば原価が判ります。また、同じ製品を1種類だけ製造している場合は、総製造原価を生産量で割れば1品当たりの原価が計算できます。

何種類もの製品を製造している場合、それぞれの製品の製造原価はどのようにして計算するのでしょうか? また、仕掛品(製造途中の半製品)の評価額はどうやって計算するのでしょうか? なお、計算の期間ですが、これは1ケ月を単位として実施することが多いようです。同じように製造していても、原材料の価格変動や不良品率の変動によって変わってきますから、原価管理の点からこまめに計算する必要があるのです。

以下は極めて大雑把な説明です。細かい点は気にしないでください(原価計算はそれだけで1つの専門分野です)。

◆直接費と間接費

小さな工場では、事務所が工場の隅っこにあって、電気・ガス・水道のメーターも一つしかないかも知れません。また、同じ人が製造も営業もやっているかも知れません。

まず製造部門で使った部分と、それ以外で使った部分に分けることから始めます。どうやって分ければいいか … 言葉で言えば「一定の基準を作って合理的に」としか言えませんが、とにかく分けないことには始まりません。

材料費は、材料ごとに受払帳(材料元帳)で記録するか、月ごとに棚卸をして材料費を確定します。材料は仕入れた時点では「材料=資産」ですが、製造工程で消費されると「材料費」になります(振り替えます)。

同じように、給与等のうち製造部門に関わっている人の分は労務費(製造原価の一部)に、費用(経費)のうち製造部門で消費する分は製造経費(製造原価の一部)になります(振り替えます)。

更に、材料費・労務費・(その他の)経費とも、直接費と間接費に分けます。

 

 直接費

 間接費

材料費

製品ごとの使用・不使用が判明しているもの

様々な製品に使用され判別が困難なもの

労務費

作業時間などで判明する部分

機械の保守整備の時間、賞与・社会保険料など

経費

外注加工費、特許使用料、試作費など

減価償却費、電力料、光熱費、福利費、修繕費など

製造工程で直接消費されるのもの(直接費)は幾ら掛かったかが明白ですが、そうでないもの(間接費)は、一定の基準を設けて配賦する必要があります。

◆間接費の配賦

配賦の基準としては

●数量(製品の生産量)

●時間(作業時間、機械の稼動時間)

などを用います。実情に合わせて最適な基準を採用する必要がありますが、基準は正確に測っておかなければなりません。

 

一つのラインで3種類の製品を製造しているものとします。

 

A(45%)

B(35%)

C(20%)

それぞれの直接費との合計額を求めます

間接材料費 (800)

360 280 160

間接労務費 (500)

225 175 100

間接経費   (360)

162

126

72

(直接費+間接費)÷ 製造数量=1個(単位)当たりの製造原価 としたいところですが、これではやや不正確です。

〔補足〕

経費については、ほとんどの費目が間接費になりますが、多少厄介な問題があります。減価償却費や保険料などは稼動時間・生産量には無関係に発生します。年間の減価償却費や保険料を月割にして毎月の経費にすると、例えばアイスクリームの製造設備のように夏場の数ヶ月とその他の月の生産量が大きく異なる場合、繁忙期では原価が低く計算されてしまいます。季節要因の大きい製品では、月割額を算定する際に生産予測量(過去の実績量)等で調整しておく必要があります。また、季節変動のない製品でも、年末年始・ゴールデンウィーク・夏期に休業する場合も生産量に変動が生じますから、同様の調整が必要でしょう。

◆仕掛品の評価

上の計算式のうち (÷ 製造数量 ) が問題なのです。期間を区切って原価計算をする限り、製造途中の物があるはずです。仕掛品と言いますが、仕掛品と完成品を同じ1個(単位)で勘定することはできません。

細かく言うと難しくなりますが、要は完成品の何%で評価するかを決めなければならないのです。

 

数量

換算数量

合計

完成品

120

120

146

40%の仕掛品

30

12

70%の仕掛品

20

14

月初めにも月末にも仕掛品はあります。今月完成した製品には、先月から持ち越した仕掛品も含まれます。

月初仕掛品評価額+今月の製造費用

今月の1個(単位)当たりの製造原価(S)

完成品の数量+仕掛品の換算数量

月末の仕掛品は、(S)にそれぞれの完成度(上の表では40%、70%)を掛けて算定します。

◆減耗・仕損品の処理

製品○○は、100Kg の材料を最良の状態で加工すると70個 の製品に仕上がりますが、実際に製品に仕上がるのは68個 前後になります。原因 は、製造過程での材料の粉散などによる目減りと、不良品(仕損品)の発生です。これによって予定(机上の計算)より実際の生産高が少なくなります。この差を減損 (減損費・仕損費) といいます。

通常の状態で発生した減損 は、製造工程で不可避に発生しますので原価に算入します。天災・事故など異常な状態で生じた減損は製品の原価とは認められないので、営業外費用か特別損失とします。

減損がいくら発生したか … これを無視しても、自動的に原価に算入されます(商業簿記の棚卸減耗損の場合と同じです)から、正常減損の場合は原価計算に差異は生じませんが、原価管理の点からは好ましくありません。予定生産量と実際生産量との差を金額で把握して、製造工程改善のための資料とします。

 原材料投入量100Kg ¥1,4000,000

予定生産量 70個 実際生産量 68個 ⇒

材料費 ¥1,360,000

減損費 ¥   40,000

となります。ここでは、材料費だけを算定していますが、仕損品の場合は労務費・経費も含めて算定する必要があります。

正常減損費の原価算入ですが、完成品にだけ配賦するか完成品と仕掛品の両方に配賦するか … 減損の発生時点が判明している場合は、仕掛品の加工度合によって判定するのが通常です。仕掛品の加工度合が減損の発生点より前の状態であれば完成品にだけ配賦し、発生点より後であれば両方に配賦します。

◆原価管理

以上の計算を、各製品ごとに毎月行います。目的は

●製品価格が適正か?の判断資料

●コストダウン ⇒ 作業工程の見直し、不良品率の減少、新規設備の導入効果の測定

等々です。

原価の予定計算

今までの話は、実際に生じた材料費・労務費・経費を基にして原価を計算する「実際原価計算」の概略です。実額での計算ですから、事後的にしか

原価を算定できません。財務管理には事後の確定額が必要なのでこれでいいのですが、月末に帳簿類を締切ってからでないと、つまり翌月になら

ないと原価計算ができません。

◆製造間接費の予定配賦と実際配賦

直接費については、製品1個(単位)当たりの投入量(金額)の測定は比較的容易です。間接費については、次のような工夫が必要です。まず、間接費を

●変動費間接費材料費の一部、間接労務費の一部、電力料・光熱費など稼働時間に比例するもの

●固定費 … 生産量の多寡に関らず発生する間接材料費の一部、間接労務費の一部、減価償却費や保険料など

に分けます。過去の実績とその月の生産予定量などから、稼働1時間当たりの変動費とその月の固定費を算定しておきます。これはいずれも予定額です。

変動費単価

(円/時間)

固定費

(円/月)

間接費材料費

1,000

200,000

 

 

 

 

変動費 ⇒  3,000 × 400 = 1,200,000

固定費 ⇒  1,400,000

製造間接費  ⇒  2,600,000 

 

1個当たりの間接費 2,600,000 ÷ 1,300 = 2,000

間接労務費

500

150,000

間接経費

 

 

 動力料

1,500

650,000

 減価償却費

0

380,000

 保険料

0

20,000

   計

3,000

1,400,000

稼働時間が 400時間、生産予定量が 1,300個であれば、1個当たりの間接費は 2,00円です。直接費は製造工程の初期段階で判明しますから、これに上で計算した間接費を加えてその月の原価を算定します。

 

間接費を予定配賦している場合は、帳簿類の締切り後に実際の発生額で計算した原価と比較します。間接費の差額は変動費単価が要因となるものと、稼働時間が要因となるものとに分けることができます。これを差異分析といいますが、詳しくは専門書でお調べください。

◆原価の見積り=標準原価計算

間接費だけでなく、全ての原価項目についは予定額を設定して原価を管理する仕組みを、標準原価計算といいます。概略は

材料費、労務費、経費のそれぞれに標準値を設定します。過去の実績+製造過程の改善、新製品の場合は試作等のデータを基にします。

それぞれの標準値を加えて原価を算定しますが、この原価は一定の生産量に対して各原価要素の価格及び消費量が予定通りである場合の「規範値」です。

帳簿類の締切り後には、実際の発生額との差異(差額)を材料費、労務費、経費の全原価要素を対象として分析します。

差異が管理可能の範囲 … 材料費などであれば価格変動が想定内であり、製造技術等が要因の場合は改善可能の範囲 … 内であれば、原価に算入します。管理可能の範囲を超えている場合は、営業外損益や特別損益で処理します。

具体的には、かなり専門的な話になりますので、詳しくは専門書でお調べください。

興味をもたれた方は、工業簿記の勉強を初めてください。教科書での勉強は雛型を事例としていますが、実務に入ると実情に合わせ

た工夫が色々と必要になるはずです。

製作・著作 (有)協進会  2003/12  ( 2010/09 補筆 )


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