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帳簿上の利益と資金繰り

大昔から「勘定合って銭足らず」という言葉があります。勘定=帳簿が合っていることは当然大事なことですが、もっと大事なことは「銭足らず」にならないことです。勘定が合わなくても「銭」が足りていれば、当面は商売を続けることはできます。

勘定合って銭足らず

1例あげておきます。

 

先  月

月  初

期  中

収  支

現金・預金

 

500,000

 

1

500,000

先月売上(掛売り)

入金は翌月20日予定

2,000,000

    20

+2,000,000

今月売上(掛売り)

 

 

2,225,000

 

 

先月仕入(掛仕入)

支払は翌月25日

1,200,000

 

 

25

−1,200,000

先月仕入(掛仕入)

 

 

1,500,000

 

給与の支払

25日

 

 

500,000

−500,000

家賃の支払

末日までに翌月分を払う

 

 

100,000

−100,000

  700,000

順調に行けば、月末の現金・預金残高は \700,000 です。

先月の売上(掛売り)が取引先の状況で予定通り入金しないと、たちどころに仕入代金の支払も、給与・家賃の支払もできなくなります。そこで、仕入先に頼んで支払を延ばしてもらい、家賃の支払も期日には間に合わないことで了承して貰ったとします。

●帳簿上の今月の損益計算は

売上高

2,225,000

 

仕入高

−1,500,000

本来は単純に仕入額を引くのではありませんが …

給  与

−500,000

 

家  賃

−100,000

今月分は先月に支払済みですから、今月分の経費にします

差  引

+125,000

 

●帳簿上の資産額は

順調にいった場合(月末)

売掛金が未入金の場合(月末)

現金・預金

700,000

現金・預金

 

0

売掛金

2,225,000

売掛金

4,225,000

買掛金

1,500,000

買掛金

2,700,000

 

 

 

未払金(家賃)

100,000

差  引

1,425,000

差  引

1,425,000

右の場合、利益も出て資産も+ですが 「銭」が足りません。

■ 収支予定(予測)計算

手持ちの現金・預金+収入−支出 が △ になれば、その時点で、「銭足らず」に陥ります。取りうる方法は3つだけです。

支払を延期して貰う

借入で賄う

資産を処分して換金する

いずれも、即実行できるわけではありませんから、予め収支の予定(予測)を組んでおくことが肝要です。月単位の他、年単位(半年単位)で組むこともあります。

日付

摘   要

収   入

支   出

残  高

 

**/01

繰越し

 

 

500,000

 

**/20

売掛金回収

2,000,000

 

2,500,000

現金販売の場合は売上予測額

**/25

買掛金支払

 

1,200,000

1,300,000

 

**/25

給与支払

 

500,000

800,000

 

**/30

家賃支払

 

100,000

700,000

 

支出の方はほぼ予定(予測)通りに出て行きますが、収入の方はなかなか予定(予測)通りには行きません。

売掛金が何時も100%予定日に回収できることは、むしろ稀なことです。取引先の業績が悪化すれば、支払期日延長、現金(小切手・振込)払いが手形払いに、更には手形サイト(支払期日までの日数)の長期化 … と、段々回収が遅れていくこともあります。どこで手を切るか … 難しい判断に迫られます。
現金販売であればそんな心配は無用 … それはそうですが、売上予測は現金商売が一番難しいのも事実です。末端の小売業ほど競争の激しいものはありません。新規出店、競合店の改装・営業時間の延長等は日常茶飯事です。

■ 損益計算と収支計算

会計帳簿では、売上・仕入・経費とも発生時点で記録します。

売上・仕入とも現金、経費も即金払いであれば、現金の収支と損益計算は一致します(厳密には違いますが … )。

掛売上、掛仕入、経費の後払いがあれば、現金の収支と損益計算は一致しません。収支は発生から数ケ月遅れになりますが、長期間で見ればほぼ一致するはずです。

損益を月単位で把握していれば、収支とのタイムラグを修正することで、収支計算(収支予測)をより正確に行うことができます。ただし、迅速に行わなければなりません。

得意先ごとの売上金額 ⇒ 次回の請求額(回収額)

売掛先に対する請求書の作成、仕入先からの請求書の受取を待たずに金額が判明していれば迅速な収支予定が組めます。

取引先ごとの仕入金額 ⇒ 次回の要支払額

後払いの経費

税金(消費税、事業税、法人税等)の予定額 ⇒ これは決算の予備段階で把握します

 

製作・著作 (有)協進会  2003/12


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