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コラム(藪にらみ)

税制や社会保険について、ちょっと「?」なことを、薄学モノが意地悪く考えてみました。


【 社会保険の総報酬制について

平成15年4月から導入される総報酬制について、事業所での事務に関連する部分をお知らせします。

従来は毎月の給与から保険料を徴収し、賞与からは特別保険料を徴収していました。

賞与から徴収する特別保険料は1%(事業主負担を含む)ですから、年収が同じ人でも賞与の比率の高い人は保険料の負担が小さく、賞与の比率の低い人は保険料の負担が大きくなっていました。

総報酬制の導入で

賞与からも給与からも同率で保険料を徴収します。従って、賞与の比率の高低によって負担額に差が生じることはなくなります。

保険料率は下がります。

基礎算定届の提出が1ケ月早くなります。

改訂後の保険料の適用期間が、「10月⇒9月」ではなく「9月⇒8月」になります。

さて、各事業所での社会保険事務ですが

中小規模の事業所では、ほとんど「保険料額表」に当てはめて保険料を徴収していますが、4月分からは新しくなります。保険料率が下がりますから、給与から徴収する保険料は当然下がります。

賞与については、支給額の1000円未満を切捨てた額 (150万円を超える場合は150万円 ) に保険料率を掛けた額を保険料として徴収します。

賞与支払届の提出が必要なことは変わりませんが、様式は新しくなります。

基礎算定届の対象月が従来は5月〜7月でしたが、これが4月〜6月になります。当然「届出書」の様式も変わります。

負担額は増えるか、それとも減るか?

手許にある社会保険庁のパンフレットには「負担の一部を賞与(ボーナス等)に割り振りますが、年間の保険料負担でみると、従来通りのバランスを保っています。」となっていますが、果たしてその通りか検証してみましょう。

 

従来

総報酬制導入後

 

毎月の給料にかかる保険料率

17.35%

13.58%

 

賞与にかかる保険料率

1%

13.58%

 この率はパンフレット記載の通り

実務では「保険料額表」に当てはめることになりますが、比較検討のために料率を使います。

毎月の給与支給額を A(年間ではA×12) 、年間の賞与支給額を B とします。「従来通りのバランスを保って」いれば 

(A×12×0.1735)+(B×0.01)=(A×12×0.1358)+(B×0.1358)

2.082A+0.01B=1.6296A+0.1358B

0.4524A=0.1258B  

B≒3.6A

この簡単な計算から判ることは、年間の賞与支給額が3.6ケ月分のときだけ「従来通りのバランスを保っている」ということです。或いは、民間の賞与支給は平均で3.6ケ月なのでしょう。

●従来の賞与支給が3.6ケ月を超えていた事業所では ⇒ 負担増加

●従来の賞与支給が3.6ケ月未満だった事業所では ⇒ 負担減少

になりそうです。

  【 2003/02/12 】   

【 所得税・個人住民税の税率改正

平成19年(暦年)から、個人住民税の税率が一定(10%)となり、調整のために所得税の税率が 10%〜37% から 5%〜40% になります。所得税と住民税の合計では従来通りになるそうですが、果たして ?

改正前後の比較のため、一覧表にまとめると

所得金額

(万円)

平成18年まで

平成19年以降

〜195

 

10%

 

5%

15%

5%

 

10%

 

15%

〜200

10%

20%

〜330

10%

20%

20%

〜695

 

20%

 

30%

20%

30%

〜700

23%

33%

〜900

13% 33% 33%

〜1800

30%

43%

33%

43%

1800超

37%

50%

40%

50%

合計では、ほぼ同率です(になるように改正されています)が

所得金額の区分の境目辺りで増税になる場合が生じそうです(朱色の枠部分)。

基礎控除・扶養控除等の金額は所得税=38万円、住民税=33万円なので、住民税の比率が高くなる範囲では(控除額の差額分×税率の差 が)増税になります。

調整控除 … 人的控除(基礎控除・扶養控除等)の適用状況に応じて、住民税の所得割額から一定の額を控除する調整控除が設けられることになりました。概略は

課税所得金額が200万円以下の場合

次のいずれか少ない額の5%
 ●人的控除の差の合計額

 ●課税所得金額

課税所得金額が200万円超の場合

{人的控除の差の合計額の合計額−(課税所得金額−200万円)}の5% … この金額が2,500円未満の場合は2,500円

自分で計算するのは、少しばかりヤヤコシイようです。詳しくは、市町村などのホームページの解説で調べてください。

 

【 2006/10/31、2007/11補筆 】   

 


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