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帳簿の目的は?
継続して事業を営む限り、期間を区切ってその間の損益(幾ら儲かったか、或いは幾ら損をしたか)を計算します。
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お金さえ回っていれば事業の継続は可能ですが、どの部分に資金を回せば良いか、どの部分は削るべきかといった経営判断はできません。 |
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会社の場合は株主(出資者)に、借入金がある場合は資金提供者(多くの場合は金融機関)に対して営業状態を報告する必要があります。これをしないと債権者は資金を引き上げるでしょう。 |
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利益が出ている場合は税金を払わなければなりませんが、損益が計算されていなければ申告ができず、無申告では多くのペナルティが課せられます。 |
損益だけ分かっても資産内容が判らなければ、例えば今後しばらく赤字が続いても大丈夫か、すぐにでも危なくなるか
… 等の判断ができません。
決算書の損益計算書は損益の内容を、貸借対照表は資産・負債等の内容をまとめたものですが、2つで1セットです。片方だけでは実態が判断できません。
事業で生じる経済活動(金銭で評価できるもの)の記録簿を帳簿(会計帳簿)といいますが、目的は
①一定期間(通常は年度単位或いは月単位)の損益を計算すること
②ある時点(通常は年度末)での資産・負債等の内容を明らかにすること
です。
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両方一度に記録するには?
損益の記録だけでは片手落ちです。資産・負債等の増減も記録しなければなりません。これを一度に記録するのが複式簿記です。
事
例 |
損益の記録 |
資産・負債等の記録 |
結 果 |
100万円の商品を販売し、代金は翌月10日に振り込んでもらう |
売上 1,000,000
増加 |
売掛金 1,000,000
増加 |
収入が増加
資産(売掛金)が増加 |
60万円の商品を仕入れ、代金は翌月末日に支払う |
仕入 600,000
増加 |
買掛金 600,000
増加 |
収入が減少
負債(買掛金)が増加 |
家賃5万円を現金で支払う |
家賃 50,000
増加 |
現金 50,000
減少 |
費用が増加
資産(現金)が減少 |
掛売代金100万円が振り込まれた |
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預金
1,000,000 増加
売掛金 1,000,000
減少 |
資産(預金)が増加
資産(売掛金)が減少 |
掛仕入代金60万円を振り込んだ |
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買掛金 600,000
減少
預金
600,000 減少 |
負債(買掛金)が減少
資産(預金)が減少 |
結果欄を見れば何かに気が付くはずです。………どれも対になっていますネ。両方増加(減少)もあれば、一方が増加・他方が減少もありますが、巧く振り分ける方法がありそうです。
どれも対になっていますから、左右に振り分けて記録します。
左 側 |
右 側 |
● |
左側を借方、右側を貸方と言いますが、大した意味はありません。 |
資産の増加 |
資産の減少 |
● |
資産には売掛金等の請求権(債権)、負債には買掛金等の債務を含みます。 |
負債の減少 |
負債の増加 |
● |
左右は同じ金額を記録していきますから、左側の合計額と右側の合計額は一致します。 |
収入が減少 |
収入が増加 |
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費用が増加 |
費用が減少 |
● |
資本(出資)に関することも記録しますが、ここでは省いておきます。 |
上の例を複式簿記で記録(記帳)すると
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左側(借方) |
右側(貸方) |
100万円の商品を販売し、代金は翌月10日に振り込んでもらう |
売掛金
1,000,000(ア) |
売上高
1,000,000 |
60万円の商品を仕入れ、代金は翌月末日に支払う |
仕入高
600,000 |
買掛金
600,000(イ) |
家賃5万円を現金で支払う |
家賃
50,000 |
現金
50,000 |
掛売代金100万円が振り込まれた |
預金
1,000,000 |
売掛金
1,000,000(ア) |
掛仕入代金60万円を振り込んだ |
買掛金
600,000(イ) |
預金
600,000 |
●売掛金、買掛金、売上高
… 等々を「勘定科目」と言いますが、ほとんどの勘定科目は常識で分かると思います。
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仕訳帳・元帳・試算表
事業で生じる経済活動(金銭で評価できるもの)を簿記用語では「取引」と言います。
簿記上の「取引」は、まず仕訳帳に記録します。上に示したものが仕訳帳の基本ですが、実際には取引先やその内容も同時に記録します。
仕
訳 帳 |
日付 |
借 方 |
貸 方 |
備 考 |
科 目 |
金 額 |
摘 要 |
科 目 |
金 額 |
摘 要 |
04/18 |
売掛金 |
1,000,000 |
○○商会 |
売上高 |
1,000,000 |
△△1台 |
05/10入金予定 |
04/22 |
仕入高 |
600,000 |
△○1台 |
買掛金 |
600,000 |
(株)凸凹 |
支払期限5月末 |
04/30 |
家賃 |
50,000 |
5月分 |
現金 |
50,000 |
|
|
: |
|
|
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|
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それぞれの科目ごとの明細があれば、売上高 ・仕入高等の合計額、現金・預金等の残高もすぐに分かります。科目ごとに振り分けたものを「元帳(正確には総勘定元帳)」と言います。
現
金 (元帳) |
日付 |
相手科目 |
借 方 |
貸 方 |
残 高 |
備 考 |
04/01 |
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200,000 |
|
200,000 |
前期繰越 |
: |
|
|
|
|
|
04/30 |
家賃 |
|
50,000 |
150,000 |
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残高欄はなくても構いません。現金(預金)の場合、残高欄があると現金元帳は現金出納帳(預金出納帳)と同じ形式になります。
全ての科目の左右(借方・貸方)の合計額又は差引き額を集計したものを「試算表」と言います。科目=元帳ですから、元帳の左右(借方・貸方)の合計額又は差引き額(残額)を集計すれば試算表の出来上がりです。
試
算 表 |
科 目 |
合 計 |
残 高 |
借 方 |
貸 方 |
借 方 |
貸 方 |
現金 |
200,000 |
50,000 |
150,000 |
|
○○預金 |
1,000,000 |
600,000 |
400,000 |
|
売掛金 |
1,000,000 |
1,000,000 |
|
|
買掛金 |
600,000 |
600,000 |
|
|
売上高 |
|
1,000,000 |
|
1,000,000 |
仕入高 |
600,000 |
|
600,000 |
|
家賃 |
50,000 |
|
50,000 |
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残高の方で見ると、現金や預金の残高、売上高・仕入高・経費(ここでは家賃)が一目瞭然です。
ここまで理解できれば、3級の試験にはすぐ合格できます(保証はできません)。
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